2020年6月19日(金)
第143回 グランシュヴァリエ
6月14日に高知競馬場で行われた高知優駿は、永森大智騎手騎乗の5番人気リワードアヴァロンが逃げ切り勝ちを収めました。
リワードアヴァロンの父は、高知の大将として全国を舞台に戦い続けたグランシュヴァリエ。宮崎忠比古オーナー、雑賀正光調教師、永森騎手と、父にもかかわってきた面々が息子で大一番を制するという、この血統のロマンに感動した方たちも多かったでしょう。(母のデイトナも雑賀調教師が手掛けた時期もありました)
グランシュヴァリエは現役引退後、種牡馬生活に入り2世代の産駒を送り出しました。その初年度産駒4頭の中から、高知優駿馬が誕生。
「自分の子供みたいな感じなので、うれしさを通り越しています。記憶に残るレースになりますね。最近は出負けする所もあったので、逃げられれば勝てるとは思って、この馬では初めて自分で尾っぽを取りにいきました。後ろにいたのは私です(笑)。
道中はひとつも引っ掛かっていなかったし、これは勝てるんじゃないかと思って、ゴール前は『頑張れ、頑張れ』と、子供に言うように応援しました」(雑賀調教師)。
現在のグランシュヴァリエは種牡馬を卒業し、札幌市のモモセライディングファームで乗馬生活を送っているそうです。
グランシュヴァリエも今年15歳。百瀬利宏さんのお話しでは、気が強いために初心者向けではないそうですが、百瀬さんと馬場馬術競技に出場しながら元気いっぱいに過ごしているそうです。
今後も息子の動向から目が離せませんが、雑賀調教師のお話しでは地元を中心に使っていきたいとのこと。
「気性のよくない所は親子で似ていますかね(笑)?機嫌よく走れた時と走れなかった時の差が大きくて、それだけ乗り役を見ているというか、頭がいいです。背はこれから大きくなると思いますが、まだ薄っぺらいので、もっと幅が出て大きくなってくれば、お父さんにももっと似てくるのかな。子供と一緒なので、これからも怪我なく元気に走ってくれることが一番です」(雑賀調教師)。
リワードアヴァロンがレースで付けている額革には、雑賀調教師の奥様がテープで、『グランシュヴァリエ』と施しているそうです。『もしレースで困った時には、お父さんの名前を他の馬に言いなさい』という意味を込めているそうです。「それだけ、みんなでかわいがっているんですよ(笑)」と、電話越しの雑賀調教師は終始笑いが絶えませんでした。
高知優駿馬の父となったグランシュヴァリエ。息子の活躍を北の大地で見守りながら、今度は乗馬の世界でトップホースになるように元気に過ごして欲しいと思います。