2020年11月20日(金)
第148回 ハッピースプリント
北海道の田中淳司厩舎と大井の森下淳平厩舎に所属し、地方競馬所属馬たち最高の栄誉NARグランプリ年度代表馬を2度受賞(2013年、2015年)したハッピースプリント。地方競馬の一時代を築いた至宝が、現役を引退して種牡馬入りすることになりました。
ハッピースプリントは、2013年5月に門別競馬場からデビュー。宮崎光行騎手を主戦に、地元のサンライズカップ、北海道2歳優駿を制し、続く全日本2歳優駿ではJpnⅠに格上げされてから初の北海道勢の制覇。
その後は南関東へ移籍。吉原寛人騎手とコンビを組み、前哨戦の京浜盃、クラシック一冠目の羽田盃、二冠目の東京ダービーでは、いずれも単勝1.1倍という断然の人気を背負っての圧勝。三冠目のジャパンダートダービーは、トーシンブリザード以来13年振り南関東史上8頭目の三冠馬への期待も高まりましたが、惜しくも2着に涙を呑みました。
それ以降も中央古馬の一線級たちに立ち向かい、2015年のフェブラリーSは優勝したコパノリッキーから0.6秒差の11着、帝王賞はホッコータルマエから0.7秒差の3着。浦和記念は宮崎騎手を背にして勝利を飾り、古馬になって初めてダートグレード競走を制覇。
しかし、4歳秋以降からは、競馬に向けて負荷をかけていくと、蹄が変形していく疾患との闘いが始まり、装蹄師さんや様々な関係者のお話しでも、経験がないと言っていたほどの特殊なケースだったそうです。
長期休養を挟みながらも、オーナー様、辻牧場さん、装蹄師さん、田中厩舎や森下厩舎に関わる皆さんで尽力してきたそうですが、これからは第二の馬生へ。
「心身ともに他の馬とはちょっと違う強さがあって、スピードもその持続力も、体力も、体の使い方も、精神的な面も含めて、全部がすごい馬でした。若い頃からたくさんの人たちの期待を背負いながら結果を出し続けて、競馬を盛り上げてくれて、そういう使命を持って生まれてきた馬なのだろうなぁと思います。
携わる人たちにもファンにもたくさんの感動を与えてくれたことは、本当に感謝というかその一言に尽きますね。ハッピー自身がものすごい能力のある馬なので、オーナーさんとともにハッピーの子供で3冠にチャレンジしたいです。ハッピーにはこれからもファンや携わる人たちに夢を与え続けて欲しいです」(森下調教師)。
『ハッピースプリント、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました!』