2020年3月19日(木)
第140回 教養センターの馬たち
栃木県那須にある地方競馬教養センターでは、騎手候補生たちが騎手になる日を夢見て訓練に励んでいます。そんな卵たちの先生として大切な役割を担っているのが、地方競馬などで走っていた元競走馬たち。
ムサシキングオー(大井・栗田泰昌厩舎)は、勝島王冠(2015年)を笹川翼騎手とのコンビで優勝した南関東重賞ウイナー。2歳11月に大井競馬場へ入厩してから11歳3月まで骨折などもありながら一度も放牧に出たことがないという大井の箱入り息子です。8年以上も暮らした大井競馬場から、3月7日に新天地の教養センターへ。
その1週間後、教養センターでムサシキングオーに会わせて頂くと、競馬場にいた時よりも何やらソワソワしている様子。
「到着した時はもっと落ち着いていて、やっぱり違うなぁという感じだったらしいので、遠征競馬だと思っていたのでしょうか。次の日からちょっと元気になっちゃったみたいです(苦笑)。引き運動をしても馬がいる所を通過するたびに鳴いたり、若いですね。若馬と一緒の感じで乗り慣らしてから、生徒に乗ってもらおうと思っています」と江川伸幸教官。
非常に頭のいい馬だったことは競馬場にいた時の関わる皆さんが言っていたことなので、早く新生活に慣れて、先生デビューができる日を心待ちにしています!
そんな中、貫禄たっぷりな雰囲気を醸し出していたのは、スイグン。福山の千同武治厩舎に所属し、片桐正雪を主戦にしてアラブのビッグレースを勝ってきた名馬。ここでの生活も10年以上が過ぎました。
スイグンも今年20歳になったそうです。ちょうどカイバを食べていた時だったので、お顔も上げずに後方にいる取材陣には知らんぷり。
「この仔はお助けホースというか、神ホースです。乗ったことがない子は全然わからない状態から始めるので、そういう子たちがどうやったら駈歩ができるようになるかを、乗りやすい馬なので学べます。本当にいい先生ですよ」(江川教官)。
江川教官に褒められると、スイグンはひょっこりと後ろを振り返ってこちらを見ていた姿がとても微笑ましかったです。
江川教官は上山競馬場と船橋競馬場で騎手をしていました。江川教官が騎手候補生時代にすでに教養センターにいたというダブリンライオンとポニーのポコをはじめ、70頭近くの馬たちが先生として教えているそうです。
みんなの元気な便りは、地方競馬全国協会ホームページ内の教養センター便りでも見ることができるので、これからも近況を楽しみにしています!