2019年7月19日(金)
第132回 スイングバイ
皆さんは、荒尾競馬場と大井競馬場で走った快速牝馬スイングバイを覚えているでしょうか?
1999年7月に荒尾競馬場からデビュー。そもそもは中央競馬デビュー予定でしたが、歩様が悪くなったことから断念し、熊本の牧場で治療に専念。デビューしたのは3歳7月。当時のことを、「まだ競走馬らしい姿には程遠かったです」と、平井裕オーナーは振り返っていましたが、それでもデビュー戦は3着になると、その後は連勝し、荒尾では通算7勝。
2000年3月から大井競馬場の一員になりました。ここでも連勝街道を突き進み、内田博幸騎手とのコンビで、トゥインクルレディー賞とファーストレディー賞の2つの重賞を制しました。荒尾からやって来た快速牝馬が、大井競馬場の砂上をあふれるスピードで可憐に駆けていく姿……。実力を兼ね備えたアイドルホース的存在でした。
現役引退後は繁殖生活を送り、10頭の産駒を誕生させ、産駒の通算勝利数は41勝(地方重賞1勝)。さらに、孫にあたるサラトガスピリットは中央芝で5勝を挙げ、重賞戦線にも出走。その後はのど鳴り手術から復活し、現在はホッカイドウ競馬で走っています。
スイングバイも今年23歳。平井オーナーが所有し、北海道釧路市のセントラル牧場さんで悠々自適に余生を送っています。平井オーナーのお話しでは、牧場スタッフさんからは、23歳には思えないような若さと張りと元気を感じると言われているそうです。
平井オーナーから提供して頂いたお写真を見ても、『おばあちゃん』って呼ぶのは申し訳ないような凛々しさが伝わってきます。
「スイングバイは、私の馬主としての視野を大きく広げてくれて、血統書などの取引の大切さや、怪我に対して辛抱する気持ち、重賞勝ちを含めて勝利の至福などを教えてくれました。かけがえのない仔です。
スピードと素直な気性は素晴らしくて、繁殖としても大成功してくれたと思っています。今後はゆっくりと余生を送ってもらいたいですね。孫やひ孫たちが活躍して、いつまでもスイングバイの血統を残していくのを見ていて欲しいです」(平井オーナー)。
幸せな馬だなぁと、今はその言葉しか浮かびません。スイングバイ、これからも健康に幸せに!