2019年12月20日(金)
第137回 キタサンミカヅキ
NARグランプリ2018の年度代表馬・4歳以上最優秀牡馬・最優秀短距離馬と3部門を獲得したキタサンミカヅキ(船橋・佐藤賢二厩舎)。
中央競馬で6勝を挙げ、2017年夏から7歳の時に地方競馬へ移籍すると、短距離戦線で大活躍。ダートグレード競走などを中心に古巣・中央勢に果敢に立ち向かい、東京盃連覇や東京スプリント、アフター5スター賞史上初の3連覇など、通算タイトルは7勝。高い舞台で戦いながらも、移籍後に掲示板を外したのはたった1回だけという堅実な走りが続きました。
キタサンミカヅキの8歳から9歳まで約1年に渡りコンビを組んだのは、地方競馬のリーディング・森泰斗騎手です。
「精神力がものすごく強い馬でした。どこでも行けるし、狭い所でも割っていけます。それに、普通の馬なら9歳になればだんだんズルさも出てくるし、心が折れてあんなに走れなくなると思います。馬の能力はそれぞれに個体差はありますが、精神力だけで言えば、たぶん日本一だと思いますね。それは昔からなのかはわかりませんが、僕が乗っている1年間ですごく感じました」(森騎手)。
結果的には8月28日のアフター5スター賞がラストランとなり、11月7日に船橋ケイバより引退を発表。新天地となる北海道の優駿スタリオンステーション(新冠)での種牡馬生活をスタートさせました。キングヘイローの後継種牡馬としての期待も高まります。
「今はポッカリと穴が開いたような寂しさですが、引退というのはいずれくるものですし、ここまでよく頑張ったなぁという馬ですからね。地方競馬の短距離界を何年も引っ張ってくれて、お疲れ様というか、本当に感謝しかないですし、感謝という言葉が薄っぺらく感じるほどです。何年後かにはキタサンミカヅキの子供が出てくるのは超うれしいです。僕も健康に注意して乗っていないと」。
JBCの開催を記念し行われた「第2回地方競馬ファン投票」で、キタサンミカヅキはトップの人気。地方競馬所属としては2年3か月という短い時間でしたが、魅せてくれた時間は、それ以上に感じさせるとてもとても濃いものでした。
このまま順調にいけば、2023年にはキタサンミカヅキ産駒がデビュー。父譲りのスピードとパワー、末脚、強靭な精神力を受け継いだ産駒たちが、競馬場で駆ける姿を心待ちにして……。
キタサンミカヅキ、お疲れ様でした!