2019年11月20日(水)
第136回 ディアマルコ
高知競馬生え抜きの名牝ディアマルコ(高知・那俄性哲也厩舎)が、引退し繁殖入りすることになりました。
ディアマルコは、17年ぶりに復活した高知競馬場のサラブレッドの新馬戦を9馬身差の圧勝劇から始まり、園田遠征ののじぎく賞で重賞初制覇。その後も高知優駿と黒潮菊花賞を制し高知2冠を達成。園田の兵庫サマークイーン賞3連覇を飾るなど、全国を舞台に走り続けました。
それにより、グランダム・ジャパン2018古馬シーズンの総合優勝を飾り、その年のNARグランプリ4歳以上最優駿牝馬も受賞。京都競馬場で行われたJBCレディスクラシックにも出走。所属は那俄性哲也厩舎、主戦が佐原秀泰騎手。2013年に廃止した福山競馬場の面々が中心となり、『チーム・福山』が手掛けてきたことはあまりにも有名です。
「一番印象に残っているのは、牧場での最初の出会いですね。オーナーと一緒に別の馬を買いに行ったのですが、その時にオーナーの背中をツンツンとしてきたのがマルコでした」(那俄性調教師)。その後のセリで購入し今に至るそうですが、出会いというのは本当にわからないものですね。ディアマルコが自分から寄ってきたかのような、素敵なワンシーン。
デビュー前はそこまで派手な部分はなかったそうで、関係者も衝撃を受けたという新馬戦。心肺機能が非常に優れていて、普通の馬の強めの調教がディアマルコの普段の調教。遠征競馬の多い馬でしたが、現地に到着するとカイバを全く食べなくなることから、レースの6~8時間前に到着するようなスタイルで、常に当日輸送で遠征し続けた日々。
ディアマルコという名前はとてもかわいらしいですが、実際は非常にきつい性格だったそうで、だからこそ可憐な牝馬が全国を舞台に百戦錬磨に戦い続けられたのでしょう。
高知の看板を背負い続けたディアマルコの挑戦は終わりました。11月9日には高知競馬場で引退式が行われ、現在は生まれ故郷のクリアファーム(旧松平牧場)で、来シーズンからの繁殖生活の準備をしているところだそうです。
「福山競馬場から高知競馬場にやって来て、競馬ができるのもありがたいことでしたが、あの仔に出会えて、競馬の新しい楽しみを味わうことができました。経験できないことをいろいろさせてもらえて、あの仔以上の仔にはなかなか出会えないと思います」。
ディアマルコの通算成績は、52戦21勝2着8回3着4回。重賞成績は9勝。記録はもちろんのこと記憶にも残った、『チーム・福山』が手掛けた高知を代表した生え抜きの名牝でした。今度は、母ディアマルコとして砂上に帰ってくることを、今から心待ちにしています。
マルコちゃん、本当にお疲れ様でした!