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地方競馬にまつわる「ウマいもの」を毎月ご紹介!

2019年10月10日(木)

第97回 水沢競馬場「丸大食堂」
 勝丼(700円)

水沢競馬場にある飲食店は、馬場とスタンドをはさんで反対側にある長屋に並ぶ2軒だけ。おばちゃんが「ハイ、○百万円」とお金の単位を1万倍にするインフレ的なお店と、“大衆食堂”という表現がピッタリくる、昭和の香りをふんだんに残したお店。前者はモツ煮が看板メニューで、後者は麺類にカレー、ドンブリ系に定食という守備範囲の広さがウリになっています。

しかし2択でも競馬場での食事は基本的に1日1回ですから、遠方からの遠征民にとっては悩むところ。結局、カツ丼を食べようというメニューありきで、大衆食堂に入ることにしました。

心はカツ丼に決まっているものの、背もたれのない座面が丸いイスに座ってカウンターの上にあるメニューを見てみると、本当に幅が広いこと。中華そばの金額だけが「500円」と赤いのは、アピールポイントということかしら。そしてこの店ではカツ丼は『勝丼』なんですね。

と、ひととおり店内を見渡してから勝丼を注文。数分後にお盆とともに到着したその中身を見ると、なんとびっくりトンカツが3切れ!

これ、普通だったら6分割にできますよ。トンカツの幅を広めにするのは陸中地方の習わしなのかしら?

それでもうっすらと卵が覆いかぶさっているあたりは、ベテラン調理人の技術が感じられるところ。さっそく、カツをちょっと食べてはドンブリの上に戻してということを繰り返していきました。

横の味噌汁は味が濃い目で、これは東北を実感させるもの。確かに寒いときは塩辛いものがおいしく感じられる気がしますよね。しかし汗をかかない季節に塩分多めだと、そりゃ度が過ぎると体に毒だわ!

でも勝丼のほうは下味のなかに甘みも含まれていて、やわらかさとやさしさが含まれている舌ざわり。食べているときはこれぞ勤務中の昼休みという気分になりました。そういえば店内には音楽がなく、うっすらと場内放送が聞こえてくるだけ。床のコンクリートをイスの脚が引きずる音が耳に記憶として残ったのもまた昭和っぽい!

個人的に水沢競馬場はもっとも行く機会が少ない競馬場でして、今回は“旅うまチャレンジ”のスタンプを全部集める番組の撮影で訪問して以来なので、1年3か月ぶり。そして、この「馬美味行脚」で紹介するのは今回が初めて。ということで、これで2019年の時点で日本に存在するすべての地方競馬場を「馬美味行脚」で紹介することができました。

これまでのなかには廃止された競馬場、廃業してしまったお店もありますが、まだ行っていないお店、新しくオープンしたお店もありますからね。まだまだ競馬場のウマいものを食べていく道中は続きます!

浅野靖典(あさのやすのり)

競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、

  • 競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
  • POGの達人
  • JRAホームページ
  • 週刊プレイボーイ
  • WEBハロン

などに寄稿している。

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。
その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。