2019年5月10日(金)
第92回 佐賀競馬場「大衆食堂あたり矢」
チャンポン(600円)
佐賀競馬場のスタンドは、2016年4月に発生した熊本地震の影響で、その一部に損傷が発生。そして全国各地で進められている耐震補強工事がここでも実施されることになったため、2017年の秋から1階、2階、3階の順に各フロアを閉鎖してきました。その工事は2019年の3月末で完了。4月の開催から全フロアが使用されています。
となると、気になるのはスタンド内にある食堂の数々。1階の“なんでも焼く店”はスタンド内といえるか微妙な位置だし、2階のそば&うどん屋さんも同様。問題は3階の4店舗……。
それを確認するために中央の階段を昇って3階(指定席エリア。料金500円)に行き、3店舗がある4コーナー寄りに向かうと、扉が開いているのは1か所だけ。看板が出ていないということは、2店舗は廃業したのかな……
というわけで、開いている1店舗に入ることにしました。確か、このお店にはカツ丼があるはず。
という記憶をもとに店内に入り、壁のメニューにその文字を発見。すかさず注文すると
「ごめんなさーい、ごはんが切れちゃったんですよ」
ということは麺類だけですか。「焼きそばかチャンポンかな」と店のおねえさまに言われたので、素直に「じゃあチャンポンで」とお願いしました。
すると、中華鍋で野菜を炒めている音が聞こえてきました。先日訪問した荒尾競馬場の食堂もそうだったけれど、作り置きを再加熱するのではなく、注文がされてから作り始めるシステムなんですね。
その音を聞きながら待つこと5分。チャンポンが私の席に配膳されました。むむむ、スープの色がイメージとは違う!
そして野菜が盛り盛りで麺が見えないという姿に当たりを確信。これはなかなかのボリューム感!
さて、まずはスープから。チャンポンといえば白い豚骨スープが定番ですが、こちらは甘み成分が含まれているしょうゆベース。でもしょうゆの主張がそれほどではないので、スープとしても飲める感じがしました。続いて野菜の山を崩しながら麺に移行すると、こちらはいわゆる「チャンポン麺」。こういう形のチャンポンは、あまり記憶にないなあ。
と思いながら食べ進めたら、あらら、スープを全部飲んじゃった。
「ウチのスープは、昆布といりこを使っているんですよ。オリジナルですね」
とのこと。九州のいわゆる「うまくち醤油」があまり得意じゃない人(じつは私もその一人)でもおいしく感じられると思います。
「3階の工事は8か月もかかったから、こちらの3軒のうち2軒はお店をやめちゃいました。ゴール近くの1軒はまだ営業していますけれど。ウチもどうしようか、考えましたよ。でも常連さんが待っていてくれている、その思いがあったので再開することにしたんです」
その8か月の間は、競馬場での営業は完全にお休み。それを考えるとよく戻ってきてくれたと思います。そのおかげで巡り会ったこの「チャンポン」。これを目的のひとつにして指定席に入るというのもアリだと思います!
※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。
その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。