ウエブハロン2017　ヤングジョッキーズシリーズ　タイトル

　4月から約7か月をかけて行われてきた『2017ヤングジョッキーズシリーズ』トライアルラウンド。東日本地区の最終戦、浦和ラウンドを終えると、いよいよファイナルラウンド出場騎手が出揃うことになる。
　なお、大井の藤本現暉騎手は負傷療養中のため、JRAの伴啓太騎手は落馬負傷のため参戦できず。また前日にJRAの武藤雅騎手が疾病のため騎乗できないことが発表され、浦和の見越彬央騎手（ポイント対象外）に騎乗変更となった。
　地方・東日本地区では、臼井健太郎騎手（船橋）が20.00ポイントと断トツの数字ではあったが、その他の騎手も南関東ブロック3位以内に入れる可能性があった。それぞれがポイントを確認しながら、「とにかく第1戦で良い成績を残さないと」という声が多く聞かれた。
　中央では、西日本地区の森裕太朗騎手がJRA内1位に確定しているため、東日本地区からファイナルに出場できるのは3位まで。ここまで、横山武史騎手が2位と圏内だが、6位の木幡巧也騎手、8位の井上敏樹騎手、最下位の木幡初也騎手にも可能性が残されていた。
　第1戦のゲートが開くと、ダッシュをきかせた保園翔也騎手（浦和）が先手を取った。2番手に見越騎手、3番手に藤田凌騎手（大井）と続き隊列はすんなり決まった。スローペースで進む中、3コーナー手前で各騎手の腕が動き始め、中団にいた中越琉世騎手（川崎）や臼井騎手が上がっていく姿も。しかし、そんな後続を尻目に快調に逃げる保園騎手。直線に入るとぐんぐんと突き放し4馬身差の快勝となった。2着に藤田騎手、3着争いは接戦となったが、粘る見越騎手を臼井騎手がゴール前で捉え切った。
　紹介式で浦和コースの秘策を聞かれた際、「がんばります！」とだけ答え、言葉を濁していた保園騎手。「言ったら秘策じゃなくなっちゃいますからね。基本的に浦和は逃げた方がいいコース。でも今開催は初日から差しが決まっています。今回はペースが遅かったので逃げ切れましたが、2戦目はメンバー的にもそうはいかないと思います」と実はしっかりと分析していた様子。「これで逆転できる可能性ありますよね！」と笑顔の保園騎手は、このレースを勝って2位に浮上した。そして3着に入った臼井騎手は3位以内が確実となり（第2戦で最下位としても北海道・岩手地区1位の鈴木祐騎手より上回るため）南関東勢の残りの椅子は2つとなった。
　一方、中央の4名はいずれも下位着順に終わった。この時点で横山騎手は2位タイにポイントを下げ、2戦目では5着以上が必要。レース後はとても悔しそうな表情で「やはり難しいコースでした。うまく乗れませんでした。とにかく次は勝ちたいです！」と自身を鼓舞しているようだった。
　第2戦は前に行きたい馬が多いメンバー構成で、スタート後は各馬が横に広がる先行争い。その中から井上騎手が先手を奪ったが、並ぶように臼井騎手がマークしていた。単独の3番手に木幡初也騎手が追走し、第1戦と比べると明らかに速いペース。
　4コーナーで一旦、臼井騎手が先頭に立ったが、中団から勢いよく追い上げた木幡巧也騎手がそれを交わし直線へ。そのまま押し切るかと思われたが、道中最後方だった赤津騎手が外からものすごい末脚で迫り、ゴール前で差し切った。3着には、直線で内を伸びた保園騎手が入った。
　地の利、経験の差、地元ファンの後押しもあったのだろう、2戦とも浦和所属騎手の勝利となり、場内は大いに盛り上がった。
　そして、11番人気、単勝94.6倍での勝利という大金星を挙げた赤津騎手は、これが自身の嬉しい初勝利。ケガのためデビューが遅れ、10月16日に初騎乗を迎えたばかりだった。「これまで惜しいレースもあって悔しいことばかりでしたが、とにかくすごく嬉しいです」と晴れ晴れとした笑顔を見せた。
　この結果、横山騎手が4位に順位を落とし、JRA・東日本代表騎手は、藤田菜七子騎手、菊沢一樹騎手、木幡育也騎手の3名。南関東ブロックは、1位が臼井健太郎騎手、2位が保園翔也騎手、3位と4位の差はわずかだったが、中越琉世騎手が出場を決めた。北海道・岩手地区1位の鈴木祐騎手加え、地方・東日本地区の代表は以上の4名。
　そして、JRA・西日本地区代表は、森裕太朗騎手、岩崎翼騎手、小崎綾也騎手、荻野極騎手の4名。地方・西日本地区代表は、渡邊竜也騎手（笠松）、加藤聡一騎手（愛知）、栗原大河騎手（金沢）の3名となった。
　トライアルラウンドを戦い抜いたこの14名が、12月27日の大井競馬場、12月28日の中山競馬場で行われるファイナルラウンドで覇を競う。初代チャンピオンに輝くのは一体誰なのか。ヤングジョッキーズの熱き戦いに期待したい。