好スタートから好位をキープ
自慢の末脚でゴール前差し切る

　グランダム・ジャパン3歳シーズン第6戦の東京プリンセス賞は、南関東牝馬クラシック三冠目。船橋のグラッブユアダイヤが出走取消となり12頭で争われた。
　浦和・桜花賞を制したスターインパルスは不在となったが、二冠目を狙って桜花賞上位組が参戦。しかし、もっとも注目を集めたのは、昨年のNARグランプリ2歳最優秀牝馬のピンクドッグウッド。2走前のユングフラウ賞は左回りが合わずに7着に終わったが、前走の京浜盃では牡馬の一線級相手に2着と実力を証明。人気を集めるのは当然で、単勝1.5倍と断然の支持を受けた。2番人気以下は混戦模様で、重賞上位実績のあるシェアハッピー、アップトゥユー、ステップオブダンスまでが単勝10倍を切った。
　ゲートが開くと、先行力のあるアップトゥユーが先手を取り、ピンクドッグウッドがその直後につけた。3番手にイントゥゾーン、好位の内にアンジュジョリーが追走。ステップオブダンスは中団前あたりの位置取りで、今回も出遅れたシェアハッピーは最後方からの競馬となった。
　1000メートル通過が65秒2というスローペースに持ち込んだアップトゥユーは、3～4コーナーで後続を引き離しにかかって逃げ切り態勢。一方、ピンクドッグウッドの手応えを見ると、赤岡修次騎手が懸命に腕を動かす姿が……。結局、直線に入っても伸びる気配はなく後退してしまった。
　先頭を目がけて追いこんできたのはイントゥゾーンやグラスサファイヤ。外からはステップオブダンスも伸びていた。しかし、さらに鋭い末脚を炸裂させたのはアンジュジョリーだった。ぐんぐんとアップトゥユーに迫り並んでのゴールイン。アンジュジョリーの笹川翼騎手が目一杯腕を伸ばしたところがゴールで、アタマ差で差し切っていた。
　1馬身半離れての3着争いも接戦となったが、ステップオブダンスが制し、アタマ差の4着にイントゥゾーンという結果となった。
　レースから戻ってくると「ヤッター！」と抱き合いながら喜びを分かち合ったアンジュジョリー陣営。重賞6回目の挑戦で嬉しい初制覇。しかも南関東牝馬クラシックという大きな勲章を手にした。
　「最後は伸びるとわかっていたので馬を信じて追いました。捕らえたかなと思いましたが、内外離れて確信が持てなかったので、ガッツポーズしたかったんですけどね」と笹川騎手。これまでの重賞でも最後は必ずいい脚を見せてきたが、勝利までは届かなかった。今回は、笹川騎手が「理想通り」と語ったように、その末脚を最高の結果に繋げることができた。小久保智調教師の話では、右回りの方が得意なことから、次走は東京ダービーに向かうとのことだ。
　そして、東京プリンセス賞の31回の歴史で、浦和所属馬の優勝は初めてのこと。また、小久保厩舎は今年の桜花賞をスターインパルスで制しており、厩舎としては牝馬二冠達成となった。大舞台での勝負強さや厩舎力はさすがとしか言いようがない。
　圧倒的な人気を集めたピンクドッグウッドは11着と大敗。「返し馬の時から不安だったんですが、レースでもとにかくずっと内にささりっぱなしでした。どうしてかは全然分かりません。難しい……」と赤岡修次騎手は肩を落とした。
　さて、グランダム・ジャパン3歳シーズンではポイント上位馬に変動はなく、依然として兵庫のスターレーンが21ポイントで1位をキープ。残すところあと2戦だが、今年から最終戦ではエクストラポイントも加算されるため、多くの馬に逆転のチャンスが残されている。