グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
若草賞 3/16(木) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
桜花賞 3/29(水) 浦和 1,600m 南関東
ル・プランタン賞 4/9(日) 佐賀 1,800m 九州
東海クイーンカップ 4/18(火) 名古屋 1,600m 北陸・東海・近畿
留守杯日高賞 4/23(日) 水沢 1,600m 東北
東京プリンセス賞 5/11(木) 大井 1,800m 南関東
のじぎく賞 5/25(木) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
関東オークス JpnⅡ 6/14(水) 川崎 2,100m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で8年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2017(グランダム・ジャパン2017)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

道中最後方から直線一気
GDJ3歳女王に向け好発進

 「春は名のみの風の寒さや」というのは、日本の唱歌『早春賦』の歌い出し。この日の名古屋競馬場は、まさにそういう日和だった。
 青空は透きとおっているものの空気は冷たく、そして強い風が4コーナーからゴール方向に吹いていた。馬場状態はレースが行われていないときでも砂塵が舞い上がる状況で、少頭数でも人気の先行馬が総崩れという結果がある一方で、極端なスローペースになるレースもあった。
 そんな日に、1400メートルの12頭立てで争われるグランダム・ジャパン3歳シーズン初戦の若草賞。ファンと同じように騎手たちも頭を悩ませていたことだろう。
 兵庫から2頭、浦和、高知、佐賀から各1頭の遠征馬。そして重賞勝ち馬が6頭いるメンバーのなか、単勝1.4倍という断然人気に支持されたのは、前走がJRAからの移籍初戦で大差勝ちをおさめていたショルトだった。続いて兵庫のスターレーンが4.3倍で2番人気。メモリーミラクルが6.9倍で3番人気となった。
 その人気3頭のうちショルトとメモリーミラクルは前走が逃げ切り勝ち。しかしスタート後に先手を取りに行ったのはメモリーミラクルだけ。ショルトはその直後を狙う形で、兵庫のチョウキャプテンと並んで追走していった。
 スターレーンは大外枠からのスタートながら、1周目のゴール前では4番手のインコースという絶好の位置。その後ろの隊列は長くなり、向正面入口では15馬身ほどもあろうかという展開で、先頭を走るメモリーミラクルにとっては少し速い流れだったのかもしれない。
 3コーナーに入るとメモリーミラクルを目標にショルトが外を回って進出を開始、スターレーンも前を捉える態勢に。カツゲキマドンナはインコースを狙って上昇、大外からはセレニティフレアも位置取りを上げてきた。
 しかし勝ったのは、そういった攻防とはまったく無関係の位置にいた、高知のタッチスプリント。向正面で最後方にいたその馬は、いつのまにか4コーナー手前で中団まで位置取りを上げた。最後の直線では馬場の中央付近を一気に伸び、スターレーンに2馬身半の差をつけて突き抜けた。
 この結果には、スターレーン鞍上の岡部誠騎手も苦笑いをするしかなかった。管理する松浦聡志調教師も「前の馬は抜きますが、後ろからの馬への対応はまだまだ。でもそれにしても……」と、悔しさが残る2着となった。
 3着に入ったカツゲキマドンナは、「器用に走ってくれたのですが、最後は一杯になってしまいました」と木之前葵騎手。
 5着のメモリーミラクルは、塚田隆男調教師が「勝ったら次もグランダムと思っていましたが、これなら地元戦ですね」と、目標を切り替えていくそうだ。
 それほど、ゴール直前で奮闘する各馬の横を一気に走り抜けていったタッチスプリントの衝撃には、強烈なものがあったのだろう。
 タッチスプリントは笠松から全国各地への遠征を続けるタッチデュールの半妹。体は小さくても頑張り続ける姉と同様の丈夫さがこの馬にも備わっているのなら、グランダム・ジャパン3歳シーズンの主役を張っていける可能性は十二分にありそうだ。
倉兼育康騎手
惜しい競馬が多かったので勝たせたいと思っていたのですが、今日は体重も増えていましたし、自分自身も久しぶりの重賞勝利でうれしいです。レース前は中団からと考えていましたが、最後方は想定外でしたね。でも3コーナー手前で前の馬に近づくにつれて、いい手ごたえが出てきました。
別府真司調教師
前走で馬体が減っていたので、ひと休みさせたのがよかったですね。この馬は夏になったらすごく走るタイプですよ。まだ毛ヅヤなどはいまひとつなんですが、馬体重さえ維持できればこういった結果を残してくれると思います。次は佐賀のル・プランタン賞を目指していく予定です。


取材・文:浅野靖典
写真:宮原政典(いちかんぽ)