断然人気に応えて逃げ切り勝ち
古馬シーズン2勝目で優勝も視野に

　グランダム・ジャパン古馬シーズンは、この秋桜賞が終わればレディスプレリュードJpnⅡを残すのみ。今回は遠征馬5頭がいずれもポイントを獲得しているのに対し、地元所属の6頭は対象レースに出走していないという、極端なメンバーになった。
　となれば、やはり注目されるのは遠征馬。なかでも金沢の読売レディス杯を完勝したトーコーヴィーナスには高い支持が集まった。続いて、そのトーコーヴィーナスを兵庫サマークイーン賞で差し切っている高知のディアマルコ。同3着だった兵庫のタガノトリオンフもそれほど差のないオッズで続いた。
　しかし最近の名古屋競馬の傾向からすると気がかりな点があった。それは、以前よりインコースの砂がかなり重くなったということ。この日も第1レースから各騎手は内ラチから5メートル以上も離れた位置で馬を走らせていた。複数の地元騎手に聞くと「乗りにくい」「前に行かないと厳しい」と話し、「内枠に入るとツラい」との声も。実際にこの日の勝ち馬は大半が逃げ切りだった。
　そんな馬場の状況を味方に付けたのは、トーコーヴィーナスだったといえるだろう。「スタートはいまひとつ動いていかなかった」と大山真吾騎手がレース後に話したとおり、好スタートを切ったのは愛知のベルラインだったが、トーコーヴィーナスはすぐに加速して先頭に立った。
　逆に厳しかったのはゼッケン1番のタガノトリオンフと2番のディアマルコ。スタート直後、4コーナーの合流地点あたりでは、蹄跡がほとんどない場所を通らされた。その2頭は徐々に馬場の中央寄りへと移動していったが、そこでのロスは大きかったようだ。
　それとは対照的に、逃げるトーコーヴィーナスとその後ろを追いかけるベルラインはスムーズな走り。3コーナーを過ぎても2頭の走りは変わらないまま、一騎打ちムードとなって直線コースに入った。
　そうなると実績に勝るトーコーヴィーナスのほうが一枚上。着差こそ1馬身半だったが、内容的には完勝だった。
　2着に粘ったベルラインのあとは混戦となり、3着争いは写真判定に。道中は後方2番手にいたアルカナが、前走に続いて一気の末脚を披露して3着に食い込み、徐々に位置取りを上げたディアマルコが4着となった。
　ディアマルコの手綱を取った佐原秀泰騎手は「もまれる競馬になったことを考えると、よく走っていると思います。これでグランダムの優勝は厳しくなりましたから、西日本ダービーへと切り替えられますね。グランダムは来年の楽しみに取っておきます」と、その実力に改めて手応えを感じていたようだった。