初めての58キロでも女王の貫録
大井の期待馬も逃げて2着に健闘

　グランダム・ジャパン2016古馬シーズンの第一弾となるスパーキングレディーカップJpnⅢ。
　昨年のJBCレディスクラシックJpnⅠを勝った女王ホワイトフーガは、フェブラリーステークスＧⅠやさきたま杯JpnⅡで強豪牡馬を相手に戦ってきたが、ここでは力があまりにも違い過ぎた。3歳時の端午ステークス（1着）以来となる蛯名正義騎手との再コンビ。ただ1頭、58キロを背負っての過酷な戦いとなったが、それをハンデに感じさせない力強いパフォーマンスは、さらにこの馬の強さを際立たせるものだった。
　スタートを決めたブルーチッパーが大方の予想通り先手を取っていくと、ホワイトフーガが2番手をピタリとキープ。その後ろではヴィータアレグリアとタイニーダンサーが馬体を併せ、この4頭が先団を形成。後続との差を広げて縦長の展開となった。
　ホワイトフーガはかなり行きたがる素振りを見せ、「スムーズに回ってくることを一番に考えていたので、あまりケンカはしないように、力は上だと信じていたので早めに行きました」と蛯名騎手は振り返っていたが、3コーナー手前から一気にブルーチッパーを交わして先頭に立ったシーンには度肝を抜かれた。
　「2番手であのまま流れられれば一番理想的には思っていたんですが、どうしても我慢することができなかったので。今日は馬の強さに助けられましたね」（蛯名騎手）。
　一度は交わされたブルーチッパーが再び盛り返そうとするシーンも見られたが、最後はホワイトフーガが2馬身差をつけてのゴール。勝ちタイムは1分40秒5（良）。3着には6馬身離れてタイニーダンサーが入った。
　ホワイトフーガは夏場は自重し、次走には9月19日のレディスプレリュードJpnⅡを予定。母マリーンウィナーは船橋の川島正行厩舎からデビューし5戦2勝で引退。地方にゆかりのある愛娘が、女王としてさらにどんな強さを見せていくのか楽しみでならない。
　一方で、ブルーチッパーの根性にも頭が下がる。前半はプレッシャーをかけられる厳しい展開となり、3コーナー手前で早めに交わされながらも、最後はまた盛り返してホワイトフーガに食らいつこうとしていた。
　騎乗した森泰斗騎手は、「58キロを背負ってあそこから先頭に立って勝ってしまうのでは、勝った馬が強かったです。ただ、逃げ馬があの展開で交わされてしまったら、普通はもっと下がりますよ。手応え以上に頑張る馬なので、また差がつまってきた時には、やっぱりこの馬すごいなぁと思いました」と、愛馬とライバルを称えていた。
　今後は9月15日のオーバルスプリントJpnⅢに出走予定で、その結果次第で、JBCスプリントJpnⅠかJBCレディスクラシックJpnⅠに向かうそうだ。ブルーチッパーが所属する大井・荒山勝徳厩舎には、南関東の女王ララベルや、東京プリンセス賞の覇者リンダリンダも在厩しており、同厩同士の血気盛んな牝馬たちの戦いからも目が離せない。