3番手から直線堂々と抜け出す
中央移籍後3戦目で復活の勝利

　今年の関東オークスJpnⅡは、昨年の地方競馬において世代トップの実力を示してきたタイニーダンサーが、力の違いを見せつけた。
　タイニーダンサーは北海道の角川秀樹厩舎からデビューし、北海道2歳優駿JpnⅢ、エーデルワイス賞JpnⅢなど、2歳時に重賞4勝。NARグランプリ2歳最優秀牝馬を受賞した。その後は中央の伊藤圭三厩舎に移籍し、この関東オークスJpnⅡが3戦目。
　「実力のある馬をやらせていただいて、ここ2戦は結果が出ていなかったので、今日勝つことができたのは本当にうれしいです。北海道のファンの方やタイニーダンサーを応援してくださった皆さん、ありがとうございました」と胸をなで下ろしていた伊藤調教師。
　1番人気のアルセナーレが先頭に立ってペースを作っていく中、2番人気のタイニーダンサーは、初めて手綱を取る戸崎圭太騎手で3番手外目を追走。「スタートは決められたし、終始手応えもよくて、折り合いをつけながら走れたと思います。1番人気の馬を見ながら進めていけました」（戸崎騎手）。
　先頭から後方まで縦長の展開となり、タイニーダンサーは3コーナー付近からアルセナーレに並びかけていき、4コーナーでは先頭へ。「手応えも十分で追ってからの反応もよかったし強かったです。初めて乗せていただきましたが力を感じましたし、この馬のすばらしい競馬は見せられたと思います」（戸崎騎手）。2着のミスミランダーに2馬身半差をつける完勝。勝ちタイム2分19秒1（重）は、この10年で最も遅いタイムとなった。
　タイニーダンサーの父はJBCスプリントJpnⅠの覇者サウスヴィグラス、半姉には南関東の桜花賞馬イチリュウがいる血統。サウスヴィグラス産駒が2100メートルの重賞を制したのも競馬の面白いところだ。
　今後のローテーションについては未定だそうだが、頼もしい逸材が復活し、これからのダートグレード戦線が楽しみになってきた。
　道中4番手から脚を伸ばし、逃げ粘っていたアルセナーレをとらえた船橋のミスミランダーが2着。「うまく流れに乗ることができたんですが、あと1頭でしたね。地方の意地を見せたかったんですが……」と騎乗した森泰斗騎手は非常に悔しそう。北海道、笠松所属として走り、船橋に移籍して2戦目。佐藤賢二調教師と担当の高橋孝幸厩務員は、10年前にこのレースを制して南関東史上初となる牝馬路線の三冠馬となったチャームアスリープを手掛けている。
　今年、南関東のトップで活躍してきた3歳牝馬たちは1週前に実施された東京ダービーへ向かった。3歳秋の女王決定戦ロジータ記念には、その有力馬たちも向かうことになるだろう。今から直接対決が待ち遠しい。
　なお、この関東オークスJpnⅡはグランダム・ジャパン3歳シーズンの最終戦。ここへの出走はなかったが、船橋のクラトイトイトイが第2戦の若草賞と第4戦の東海クイーンカップを制して合計39ポイントを獲得し、総合優勝を飾った。「素直にうれしいです。まだ気性が幼いところはありますが、真面目で一生懸命に走る馬で、もっと力はついてくると思います」と矢野義幸調教師。
　今後のグランダム・ジャパンは古馬シーズンへと舞台を移し、7月6日のスパーキングレディーカップJpnⅢから再び熱戦が繰り広げられていく。