グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
桜花賞 3/23(水) 浦和 1,600m 南関東
若草賞 3/31(木) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
ル・プランタン賞 4/10(日) 佐賀 1,800m 九州
東海クイーンカップ 4/19(火) 名古屋 1,600m 北陸・東海・近畿
東京プリンセス賞 4/21(木) 大井 1,800m 南関東
留守杯日高賞 4/24(日) 水沢 1,600m 東北
のじぎく賞 5/19(木) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
関東オークス JpnⅡ 6/15(水) 川崎 2,100m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で7年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2016(グランダム・ジャパン2016)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

2番手からライバルを差し切る
復活した高知の新馬戦から飛躍

 グランダム・ジャパン2016・3歳シーズンも残すところあと2戦。ここまでは、船橋のクラトイトイトイが30ポイントで断然トップ。2位は高知のディアマルコで18ポイントと続いている。シリーズ第7戦・のじぎく賞には、東海クイーンカップに続きこの2頭が揃って参戦してきた。
 重賞2連勝中の勢いからもクラトイトイトイがやはり1番人気で、単勝1.5倍と圧倒的な支持を集めた。兵庫勢の中では、大井所属時にクラトイトイトイと僅差の戦いをしたこともあるナツが地元の期待を背負い、2番人気で単勝3.3倍。ディアマルコが3番人気で6.7倍と、この3頭が人気の中心となっていた。
 ゲートが開くと、好スタートを切ったディアマルコが先手を取るかに見えたが、少し出遅れたクラトイトイトイが押して先頭に立ち、1周目のスタンド前では後続を離しての逃げとなった。ディアマルコは2番手に控え、3番手にチョウクルクル、その直後にキタノアドラーブルやナツが追走。2周目の向正面に入るとクラトイトイトイがペースを落とし2番手との差が一気に縮まったが、前方集団の隊列はあまり変わらずレースは終盤へと向かった。
 そして、クラトイトイトイがそのまま先頭で直線に入り後続を振り切りにかかったが、そこに外から猛然と迫ってきたのがディアマルコ。ここまでの鬱憤を晴らすかのような力強い末脚で、クラトイトイトイを差し切って見せ、佐原秀泰騎手の手が大きく上がった。3着には9番人気のチョウクルクルが入り、注目のナツは5着だった。
 2着に敗れたクラトイトイトイの石崎駿騎手は「スタートで出していったことで前半かかってしまったぶん、最後は止まってしまった。輸送時間が長かったことも影響したと思う」とコメントを残した。
 勝ったディアマルコは、クラトイトイトイと3戦連続の対戦。若草賞と東海クイーンカップは、いずれも完敗に終わっていた。「前走も今日みたいな形で最後は突き放されたので、4コーナーで手応え良くても油断はできなかったし、最後まで勝てると思いませんでした」と佐原騎手。「久しぶりに興奮しました。園田の全日本アラブ優駿をローゼンホーマで勝った時ぐらい(笑)。ここ2戦の内容からもまさか勝てるとは思っていませんでしたよ」と那我性哲也調教師も満面の笑顔。まさに3度目の正直で、陣営も驚きの見事な逆転劇だった。
 高知競馬では昨年、サラ系では1998年以来、17年ぶりに2歳新馬戦が復活した。その記念すべき年にデビューしたディアマルコが、地元で力をつけ全国で活躍し、他地区で重賞を勝つまでに成長した。今回のレースは、高知競馬や関係者にとって大きな意味を持つことだろう。
 また、那我性調教師と佐原騎手といえば、2013年に廃止となった福山競馬に所属していた2人だ。「高知に来て3年目になりますが、こういう勝利によって、全国にいる福山競馬の仲間たちが、俺たちもがんばろうと思ってもらえるといいですよね」という那我性調教師の言葉が心に響いた。
 グランダム・ジャパンのポイントでは、クラトイトイトイが39ポイント、ディアマルコが33ポイントとなり、最終戦の関東オークスJpnⅡを残し優勝はこの2頭に絞られた。ディアマルコが逆転するためには、関東オークスJpnⅡで最低でも4着以内という厳しい条件だ。出走については、両陣営とも未定とのことだが、現状から見るとクラトイトイトイの逃げ切り優勝が濃厚と言えそうだ。
佐原秀泰騎手
スタートを出た時に逃げようと思いましたが、相手が行ったのであの位置に。道中は前走より楽についていけて手応えもよかったです。やっと勝てましたね。馬体重プラス7キロでここ一番の良い良仕上がり。この2走で馬がとても落ちつていて心身共に成長しています。遠征の疲れもなく非常にタフな馬です。
那我性哲也調教師
前半、相手がムキになって走っているのは分かりましたが、まさか逆転できるとは思いませんでした。遠征する度に馬が落ち着いて、名古屋の2走よりも良い状態。以前は神経質なところもあったのですが経験が力になっていますね。今後は黒潮ダービーの予定もありましたが、もう一度オーナーと相談します。


取材・文:秋田奈津子
写真:桂伸也(いちかんぽ)