迫る後続を突き放して逃げ切り
人気にこたえ名古屋で重賞連勝

　グランダム・ジャパン3歳シーズン第4戦、東海クイーンカップが名古屋競馬場で行われた。12頭中6頭が、シリーズ第2戦の若草賞に出走しており再戦ムード。その1着馬、船橋のクラトイトイトイと、2着馬、高知のディアマルコも揃って参戦ということで人気は2頭に集中した。クラトイトイトイの単勝オッズは1.3倍、ディアマルコは3.3倍、2頭の馬連複は1.6倍を示していた。
　先行馬が揃い各馬の出方が注目となったが、スタートが切られると、大外枠のクラトイトイトイが押しながら先手を取りきった。「ある程度出していこうと思いましたが、勢いもついていたので行ってしまいました。外を周らされたくなかったので」と石崎駿騎手。2番手にチェンジイット、3番手にディアマルコが続いた。
　向正面半ば過ぎ、4番手を追走していたオレンジノートが仕掛け、連れてディアマルコも上がっていきクラトイトイトイを交わしにかかった。しかしクラトイトイトイは内から抜き返し、先頭で直線へ入った。そのまま後続を寄せ付けず、懸命に追いすがるディアマルコに1馬身半の差をつけてゴールイン。3着には3番人気のキタノアドラーブルが入り、人気順の決着となった。
　若草賞に続き2着に敗れたディアマルコの佐原秀泰騎手は、「向正面で上がった時も反応が良く、4コーナーでは勝てるかもと思いました。ただ直線は脚色が一緒に。やはり相手が強かったですね」とコメントを残した。
　名古屋の地で重賞2連勝を飾ったクラトイトイトイ。パドックでは落ち着かない様子を見せ厩務員がなだめる姿もあったが、「いつもこんな感じです。気で走るタイプなので、元気が良いくらいがちょうどいいんです」と石崎騎手。レース中も、終始、物見をしながら走っていたそう。矢野義幸調教師によると「性格だから仕方ない。兄弟もみんなこのような気性なので、それをうまくレースに活かせれば」とのこと。
　まだまだ伸びしろがたっぷりあるクラトイトイトイだが、今後のポイントは左回りの克服だ。右回りコースを狙ってこのシリーズに参戦した経緯もあるが、この先、南関東の重賞に挑戦することを考えれば必須の課題でもある。「体のバランスが良くなってくれば左回りもこなせるようになると思う」と石崎騎手は前向きに語ったが、それがクリアできればさらなる道が開けるだろう。
　グランダム・ジャパン3歳シーズンのポイントでは、クラトイトイトイが30ポイントで断トツの1位。ディアマルコが18ポイントで2位に続いている。クラトイトイトイは5月19日に園田競馬場で行われるシリーズ第7戦、のじぎく賞へ参戦予定だ。その結果次第では、最終戦を待たずして優勝を決めるかもしれない。
　なお、前週に発生した熊本地震の被災者を支援するための活動が、全国の地方競馬場でも始まっている。この日の開門後、名古屋所属騎手を中心に義援金募金活動が行われた。また、東海クイーンカップを優勝した矢野調教師、石崎騎手、オーナーの倉見利弘氏からも義援金が寄付された。