直線突き放して7馬身差圧勝
断然人気にこたえ連覇達成

　グランダム・ジャパン（GDJ）古馬シーズンの第5戦となるブリーダーズゴールドカップJpnⅢ。「門別にしては暑い」との声があちこちで聞こえるほどの好天に恵まれ、新たな祝日・山の日ということもあり大勢のファンでにぎわった。牝馬限定戦に変更されて3年目の今年も、場内では女性にスポットを当てたイベント『シュエット・ジュマン・フェスティバル（素敵な牝馬の祭り）』が開かれた。パドックやウイナーズサークルは、シンボルフラワーであるダリアを中心とした花で彩られ、優雅な雰囲気を醸し出していた。
　出走馬はJRAから5頭。ホッカイドウ競馬からも5頭で、GDJ2戦目のノースクイーンカップ組が4頭を占めた。JRA勢では、昨年道営所属馬として重賞を4勝し、NARグランプリ2歳最優秀牝馬に選ばれたタイニーダンサーが門別の地に戻ってきたことも注目を集めた。しかも鞍上は当時の主戦桑村真明騎手で、応援の声も多く聞かれた。
　1番人気はアムールブリエで単勝1.7倍。静内高校吹奏楽部の演奏によるファンファーレで幕を開けた。そろったスタートからビービーバーレルが抜け出すが、スタンド前で行きたがる格好のノットフォーマルが先手を奪う。アムールブリエは外側4番手。人気馬が一団となったうしろをタイニーダンサーが追走した。
　スローペースで大勢が変わらないなか、3コーナー過ぎでレースが動いた。ノットフォーマルが後退し、押し出される形でビービーバーレルが先頭。追い出しにかかったアムールブリエが直線でぐいっと伸びを見せた。直後にぴたりとつけていたタイニーダンサーを引き離す圧勝劇だった。
　タイニーダンサーが7馬身差の2着、2番人気のビービーバーレルは3着。4着はノースクイーンカップ2着の地元馬ジュエルクイーン、5着には道中最後方にいた最低人気のクライリングが上がり2番目の39秒5で追い込んだ。
　直線でアムールブリエは、濱中俊騎手が後ろを振り返る余裕の独走。それでも上がり3ハロンはメンバー中最速の38秒5だった。道中で外を回ったことも「不利さえなければ(勝てると思った)」と、鞍上は絶大な信頼を寄せる。
　表彰式では、弟のラニが目指したケンタッキーダービーのレイを思わせるような、紫色のダリアが敷き詰められたレイがアムールブリエにかけられた。レース前に静内高校が演奏した曲がアムールブリエの日本語訳『愛燦燦』ということでも舞台が整えられていたかのよう。ナイター照明に照らされた馬体と花は、往年の名歌手の迫力を思わせる。今後は未定とのことだが、昨年4着だったJBCレディスクラシックJpnⅠの雪辱を果たしに向かうのか、注目したい。
　タイニーダンサーの桑村騎手は、「騎乗は2週間前に聞き、嬉しかった。だから結果を出したかったのだけど……」と悔しさを見せる。「2歳時より落ち着きがあり、力強かった」と成長を喜んでいた。3着ビービーバーレルとともに、3歳馬が2、3着と台頭した。
　なおGDJのポイントでは、4着のジュエルクイーンが13ポイントとして、表彰対象の地方馬では4位。地方馬で暫定1位のトーコーヴィーナスとは3ポイント差で、優勝も狙える位置につけた。