今年から南関東グレードでは最高位となるSⅠに昇格し、より存在感を増したハイセイコー記念。未来優駿の最後を飾るに、よりふさわしい一戦となった。
頭数こそ9頭と寂しくなったが、ゴールドジュニアを勝利したアランバローズ、平和賞勝ちのマカベウス、前2走がともに圧勝だったランリョウオー、重賞で好走を続けるジョーロノなど、南関東の2歳路線を牽引する各馬が集結。来春へつながるハイレベルな戦いが予想された。
ジョーロノとアランバローズによる逃げ争いに注目が集まったが、先手を奪ったのはジョーロノ。アランバローズは多少掛かりぎみに2番手につけ、ランリョウオーとマカベウスは中団を進んだ。向正面半ばから徐々にペースアップし、いよいよ勝負どころへ。
しかし、ここで一波乱が起きる。3番手につけていたパストーソが3コーナーの入口で外に膨らみ、その直後まで位置取りを上げていたマカベウスも外へ振られた。その間にアランバローズはジョーロノに並びかけ、ランリョウオーも先行した2頭に迫る。マカベウスは軌道を修正したものの、勝負どころで3頭に後れを取る苦しいかたちになった。
4コーナーで抜け出したアランバローズは、直線に向いても確かな脚いろで突き放しにかかる。後退するジョーロノに代わって外からランリョウオーが懸命に追い上げるが、その差は詰まらず、アランバローズが1馬身半差で勝利した。
アランバローズはこれでデビューから4連勝。ゴールドジュニアに続くタイトルを獲得し、南関東2歳の頂点に立った。気性的に激しく、「1~2コーナーまでは抑えるのに苦戦した」と左海誠二騎手も苦笑いだったが、控えるかたちで勝ち切ったのは収獲で、距離延長にも対応。全日本2歳優駿JpnⅠへの出走については「選択肢のひとつ」とした林正人調教師だが、「マイルを勝ったことで選択肢が広がった」と笑顔を見せた。
2着のランリョウオーは中団から脚を伸ばしたが、最後は勝ち馬と脚いろが一緒になった。本橋孝太騎手は「いい位置につけることができたが、残られてしまった。相手が強かったね。距離は延びても問題ない」と、終いまで脚を伸ばしたアランバローズに脱帽した。ただ、レースぶりや気性面を考慮すれば、来春の三冠路線で本領を発揮しそうなタイプ。さらなる成長が待たれるところ。
一方、マカベウスは勝負どころでの不利も響いて5着に敗れた。「内回りの走り自体は悪くなかったけど、外に張られたし、前残りぎみの馬場も厳しかった。巻き返したい」と本田正重騎手。本質的に長めの距離が合うだけに、このレースだけで見限るのは早計だ。
気性面から距離に不安のあったアランバローズだが、前半で折り合いに苦労しながら、後半3ハロンは38秒2とメンバー中2位。軽い馬場とはいえ、勝ちタイム1分40秒8も優秀だった。未来へ向けて着実な進化を遂げているだけに、今後もその走りから目が離せない。
Comment
左海誠二 騎手
距離に不安がありましたが、先に行く馬がいたらそれに合わせようと思っていたし、うまく立ち回ってくれました。1~2コーナーでは苦戦しましたが、向正面に入ったら折り合いがつき、リズムを崩さずに乗れたので、馬のほうが競馬をよく知っていると思いました。この経験を次に生かせればと思います。
林正人 調教師
位置取りは鞍上に任せていましたが、僕の中でも番手の競馬という選択肢がありました。それにうまく馬が対応して、いい結果が出たので、とても良かったと思っています。次走はオーナーと相談して決めますが、1600メートルでこういう競馬ができたので、当初よりは選択肢が広がるかなと思います。