2020年11月27日(金)
対象レース拡大で連勝馬も
ホッコータルマエ産駒の期待
前年の勝ち馬のその後は…
まずは昨年(2019年)の未来優駿各レースを制した馬のその後のを振り返ってみる(成績は11月24日現在)。
昨年の未来優駿勝ち馬で“ダービー馬”になった馬はいなかったものの、クラシック戦線で活躍を見せた馬はいた。
九州ジュニアチャンピオンを制したミスカゴシマはその後も快進撃を続け、佐賀皐月賞まで地元では負けなしの10連勝。期待された九州ダービー栄城賞は地元で初めての敗戦を喫して3着。それでも初めて古馬相手の重賞となった吉野ヶ里記念を制した。
デビューから4連勝で若駒賞を制したグランコージーは、岩手一冠目のダイヤモンドカップを勝利。その後勝ち星はないものの、ダービーグランプリでは後続を離しての単騎逃げで3着(同着)と健闘を見せた。
3歳夏以降に復活を見せた馬もいる。デビューから4連勝で鎌倉記念を勝ったインペリシャブルは、その後意外な不振に陥ったが、今年7月に初めて古馬と対戦したプラチナカップで2着に好走すると、距離延長の黒潮盃で6馬身差圧勝を見せた。
デビューから3連勝でゴールドウィング賞を制したインザフューチャーは、今年1月以降半年近くの休養。復帰2戦目となった湾岸スターカップを制した。
対象レースが全11戦に拡大
今年の未来優駿は対象レースに大幅な変更があった。
南関東ではこれまで、平和賞(船橋)、ハイセイコー記念(大井)、鎌倉記念(川崎)のいずれか1レースが対象レースとされてきたが、今年はその3戦に加え、準重賞から格上げされ第1回の重賞として行われたゴールドジュニア(大井)も加え、南関東だけで4戦が未来優駿となった。
ホッカイドウ競馬では、これまでのサッポロクラシックカップは施行時期と距離が変更され、新たにサンライズカップが対象レースとなった。歴代の勝ち馬から活躍馬が多数出ている出世レースで、今年から衣替えとなったJBC2歳優駿JpnⅢへもつながるレースとして注目度が高まった。
また岩手では、昨年まで10月の地元限定重賞・若駒賞が対象レースだったのが、地方全国交流として行われている11月の南部駒賞に変わり、よりその価値が高まることとなった。
また今年から高知の黒潮ジュニアチャンピオンシップもシリーズに加わり、昨年までの7レースから全11レースへと対象レースが増えた。
アランバローズが連勝
まず目立ったのは無敗馬の活躍。
船橋のアランバローズは、準重賞から格上げされたゴールドジュニア、そしてハイセイコー記念と大井で連勝し、デビューから4連勝とした。ゴールドジュニアはスピードの違いを見せつけて圧巻の逃げ切り。ハイセイコー記念は初めて2番手に控える競馬でも4コーナーで先頭に立って直線で後続を振り切った。距離への不安が言われていたが、デビューの1000メートルから1200、1400、そして1600メートルと徐々に距離を伸ばすことでクリアしてみせた。ただハイセイコー記念は控えたことで前半かなり行きたがるような素振りを見せていただけに、引き続き距離は課題となりそうだ。
ゴールドジュニアで1番人気となったのはデビューから2連勝で臨んだ船橋のマカベウスだったが、前述アランバローズに2馬身半差をつけられて2着。それでも地元に戻っての平和賞は、直線だけの競馬で他馬を圧倒した。続くハイセイコー記念では道中の不利もあって5着。母が重賞7勝のショウリダバンザイということでデビュー時から注目度は高く、距離伸びてクラシック戦線での期待となりそうだ。
デビューから5連勝で金沢プリンセスカップを制していたサブノタマヒメ(金沢)は、兼六園ジュニアカップを勝って連勝を6に伸ばした。馬群の中に入れて折り合い、勝負どころで外に持ち出して他馬を突き放すという、将来性を感じさせるレースぶり。ただその後の金沢ヤングチャンピオンでは、北海道から転入したアイバンホーとの追い比べで半馬身差2着と惜敗。地元生え抜きとして、今年石川ダービーを制したハクサンアマゾネスに続くような活躍を期待したい。
デビューから3連勝で兵庫若駒賞を制したのがツムタイザン(兵庫)。先行争いからハナに立つと、3コーナーから徐々に後続との差を広げて圧勝。デビュー戦の820メートル戦が2着に3馬身半差、2戦目の1230メートル戦は2馬身半差だったが、1400メートルの兵庫若駒賞では8馬身差と、距離を伸ばして一層の強さを見せた。
遠征でも強さ見せた北海道勢
2歳戦線では、やはり北海道所属馬の強さが目立った。
今年初めてJBCの舞台となったホッカイドウ競馬では、JBC2歳優駿JpnⅢの前哨戦・サンライズカップが今年から未来優駿の対象レースとなり、3コーナーで早め先頭に立ったシビックドライヴがそのまま押し切った。
サンライズカップでは9番人気ながら1馬身差で2着に好走したギガキングは、その後JBC2歳優駿JpnⅢ(6着)から中11日という間隔で盛岡・南部駒賞に遠征。4コーナーでは前が壁になったが、そこをこじ開けるようにして抜けてきた。
1200メートルのイノセントカップを制していたリーチは、距離適性を考慮してサンライズカップやJBC2歳優駿JpnⅢへは向かわず、川崎の鎌倉記念に遠征。直線大外を豪快に伸び、前を行く馬たちを並ぶ間もなく差し切った。
シリーズに加わった高知からも期待馬
佐賀のシュリーデービーは、JRA小倉のフェニックス賞に挑戦(10着)したあと3連勝で九州ジュニアチャンピオンを制した。ただその後、距離を1800メートルに延ばしたカペラ賞では懸念されていたとおり折り合いに苦労する場面があって8着に敗れている。
名古屋のゴールドウィング賞は、断然人気に支持されたダイセンハッピーが、2番手から向正面で早め先頭に立って後続を振り切った。これで4戦3勝、2着1回。デビュー2戦目で先着されたベツセタイはすでに川崎に移籍しているだけに、ダイセンハッピーは年明けの東海地区3歳戦線で中心的な存在になりそう。
今年新たに未来優駿のシリーズに加わった高知の黒潮ジュニアチャンピオンシップを制したのはハルノインパクト。後続を引きつけての逃げから、直線で振り切った。デビュー戦こそ3着だったが、その後は2着以内を外すことがなく1番人気にこたえての勝利。賞金的にすでに古馬格付に編入されており、下級条件とはいえ、2歳のこの時期に古馬相手に勝ち負けしている馬は、2歳馬同士のレースでは力が違った。
期待の新種牡馬ホッコータルマエ
血統で注目はダイセンハッピーで、父は現役時にダートGⅠ/JpnⅠ・10勝を挙げたホッコータルマエ。この世代が初年度産駒で、これが産駒の重賞初勝利となった。そのちょうど1週間後にも産駒のモリノオーシャンが門別のブロッサムカップを制した。初年度産駒で血統登録されたのは110頭、来年デビューする2年目の産駒も105頭いるだけに、当然のことながらダート路線では注目となりそうだ。
未来優駿の勝ち馬で新種牡馬はホッコータルマエだけだったが、この世代が2年目の産駒となるのが、シュリーデービーの父カレンブラックと、ハルノインパクトの父ヴァンセンヌ。カレンブラックヒルは、現3歳の初年度産駒にエーデルワイス賞JpnⅢ・2着でグランシャリオ門別スプリントを制したアザワクがいて、シュリーデービーは2世代目の産駒として最初の重賞勝ち馬となった。ハルノインパクトはヴァンセンヌ産駒とし初めての重賞勝ち馬となった。
シビックドライヴは父カジノドライヴ、母の父クロフネで、母の母が船橋・クイーン賞を制したビーポジティブという、日本のダートで活躍した馬たちの配合となっている。