ゴールドウィング賞は昨年まで3年連続で無敗の王者が誕生。しかし今年は無敗で臨む馬が不在で、出走12頭のうち2勝馬も3頭だけ。そのうちの2頭が圧倒的な人気を集めた。
前走のJRA認定戦を圧勝したダイセンハッピーが単勝1.6倍で、同じく前走でJRA認定戦を制したブンブンマルが2.3倍。この2頭の馬連複は1.5倍で、2番人気の組み合わせが8.5倍という、いわゆる“一本かぶり”になった。ホッカイドウ競馬からの移籍初戦となるミッドナイトクロスは3番人気で8.9倍の支持を受けたが、パドックで見せた馬体に汗が乾いた跡があり、周回中はあちらこちらを物見しながら歩いていた。
持ち時計からもオッズからも、一騎打ち濃厚。もう1頭の2勝馬、笠松のアリスパレスは「ゲートに入ろうとしたときに追いムチを打たれて、それから動かなくなってしまった」(担当厩務員)とのことで、場内にファンファーレが響いてから発走まで3分以上を要したが、枠入りを済ませていた11頭は静かにスタートのときを待っていた。
ゲートが開くと、前走で800メートル戦を逃げ切っていたリッチアロマが外枠から先手を主張。最内枠のダイセンハッピーは無理せず2番手におさまった。ブンブンマルも好スタートから4番手を確保。最初のコーナーで隊列が決まったことで、ホームストレッチでは長距離戦かと思うほどのスローペースになった。
その流れなら、向正面に入ったところでダイセンハッピー鞍上の大畑雅章騎手が動いたのは当然のことだろう。逃げるリッチアロマをあっさりと交わして主導権を握り、その直後をブンブンマルがマーク。ペースが上がると3番手以降の各馬は一気に離されてしまった。
向正面の中央付近からは、逃げるダイセンハッピーと追いかけるブンブンマルという構図。しかしブンブンマルは「4コーナーでちょっと離されてしまって」と戸部尚実騎手が振り返ったとおり、最終的な着差は1馬身でも、ダイセンハッピーと並ぶところまではいかなかった。
3着には最後に伸び脚を見せたロジータミニスターが入ったが、2着との差は3馬身。ミッドナイトクロスはさらに4馬身差の4着だった。それでも岡部誠騎手は「気むずかしくて、目いっぱいの調教ができない状況。でも、このレースを使ったことで変わってくると思います」と話した。
気性的に幼いのは、勝ったダイセンハッピーも同様。管理する今津博之調教師によると「前走でテンションがとても高かったので、今回はパドックでホライゾネットをつけたのですが、今度は大丈夫かと思うくらいにおとなしくて」と、苦笑い。牝馬限定のラブミーチャン記念ではなく地元戦を選んだのも、その気性を心配してのことだったそうだ。それでもダイセンハッピーは、父が古馬になって大成したホッコータルマエだけに、今後の伸びしろは大きそう。ナムラタイタン産駒のブンブンマルにも同じことが言えるだろう。
東海地区の2歳戦線は、この2頭が大きく抜け出した形。ダイセンハッピーは東海ダービーを目指したいとのことで、今津調教師は「あとはこれからどういう馬が移籍してくるかですね」と気にしていた。
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大畑雅章 騎手
できれば先手を取りたかったのですが、砂をかぶらせる調教をしていたこともあって、2番手でも問題ありませんでした。向正面で先頭に立ったのは、ブンブンマルが仕掛けてくる前に動こうと思っていたから。並ばれたら負けるかもしれないと考えていたので、そこからは強気に押し切るつもりで行きました。
今津博之 調教師
ゲートにいたのでレース全体は見ていませんが、3コーナーではブンブンマルとあまり差がなかったので、大丈夫なのかとドキドキしました。入厩したとき育成時より馬体が減っていたので、今回のプラス体重は本来の姿に戻っているところ。このあとは、まずはライデンリーダー記念が目標になるかと思います。