高知競馬でサラブレッドの2歳新馬戦が再開されたのは2015年。以降、地区交流重賞で活躍する馬が毎年のように登場しており、16年創設の黒潮ジュニアチャンピオンシップ初代覇者のフリビオンや第3回覇者のアルネゴーはのちに西日本ダービー馬に輝いた。今年もここから始まる2歳世代の重賞戦線。将来が楽しみな馬が出現した。
断然人気はハルノインパクトで、単勝1.2倍。高知では『2、3歳馬は番組賞金が50万円に達すると一般格に編入』という規定があり、同馬は2走前から古馬に混じってC3クラスを走っており、勝利を挙げている。となれば、同世代では力が一枚上と見られるのは当然だろう。パドックでも馬体や雰囲気が他馬より上回って見えた。
2番人気は4.1倍でブラックマンバ。2走続けて2着ながら、しまいの脚は確実で、金沢から駆けつけた吉原寛人騎手が手綱を取った。単勝10倍以下はこの2頭のみで、前走のスタートで躓きながらも追い上げて5着だったフェスティヴアンが3番人気で13.0倍というオッズになった。
五分のスタートから先手を取ったのはハルノインパクト。その外にピッタリとマークするようにフェスティヴアンがつけて4頭が先団を形成した。ブラックマンバはそこから少し間が空いた馬群のインにつけ、残り600メートル手前で外からスーッと進出。4コーナーでは内でコーナリングを生かしてトサフウジンがハルノインパクトに迫る場面もあったが、並びかけるところまで。さらにブラックマンバも直線で鋭く伸びて迫ったが、ハルノインパクトが1馬身差で勝利を収めた。
2着はブラックマンバで、吉原騎手は「先団のごちゃついたところに行くより、外から気分良く脚を使わせた方がいいかなと思いました。伸びているんですけど、向こうも伸びていて……」と悔しがった。4馬身差の3着トサフウジンの郷間勇太騎手は「距離が延びたのはよかったと思います」と話した。
今年の高知最初の2歳重賞を制覇したハルノインパクトはこれが通算5勝目。「負けられないレースだと思っていました」と西川敏弘騎手が話すように、現状、同世代では抜けた存在だろう。この後、JRAや北海道などから転入馬が増えてどうなるかだが、西川騎手は「どんどん力をつけて、できれば全国区でチャレンジできる馬になってほしいです。JRAでも無敗の三冠馬が出ましたが、自分もそういう馬に巡り合えたと思っています」と期待の高さを語った。
Comment
西川敏弘 騎手
2着馬にも騎乗したことがあって、いい差し脚なのでそれだけが怖かったですが、この馬の流れにもっていけました。完成度の高い馬で、初めの頃はのびしろはそんなにないのかなと思っていましたが、レースセンスが良くて、レースのたびに自分で競馬を覚えてくれるので、楽しみな馬です。
宮路洋一 調教師
入厩した頃から乗りやすい素直な馬でした。レースを使うごとに器用になって、馬体に幅も出て、どんどん良くなってきました。今日はスタートだけ見ていて、上手く出ればだいたい勝てるだろうと思っていました。今後は未定ですが、来年はオーナーと相談して西日本ダービーに行ければと思っています。