デビューから5戦5勝のサブノタマヒメが単勝1.3倍。サブノタマヒメとの対戦では4回とも負けているが、前走と前々走が完勝だったシンフジが2.9倍。3番人気のフューリアスは17.1倍と大きく離れ、上位人気2頭の馬連複は1.7倍。今年の兼六園ジュニアカップは、一騎打ち濃厚という見立てになった。
最終的に馬連複は3つの組み合わせが10倍未満になったが、締め切り3分前の時点ではひとつだけ。競馬場への入場が再開され、以前と同じように専門紙を手にした地元ファンには、オッズ表示の画面を眺めて思案顔という人が多く見られた。
断然人気のサブノタマヒメは、パドックで2人曳きでも落ち着いた歩き。シンフジも2人曳きで、2人ともスーツ姿で臨んでいた。張りがある馬体は良好な雰囲気で、パドックでもこの2頭が目立っていた。
1戦1勝の成績でエントリーしていたルブタンが出走を取消して10頭立て。好スタートから先手を取りに行ったのは8枠のエムザックベールとフューリアスで、その直後をナックタイガーなどが追走していった。
最内枠のサブノタマヒメはスタートからしばらく馬群に包まれる形になったが、向正面で先行した2頭の外に出すことに成功。シンフジはその後ろから位置取りを上げにかかった。
しかし現時点ではサブノタマヒメの実力が上だった。3コーナーで先頭に並びかけると、4コーナーを回り終えたあたりで先頭に立って押し切り勝ち。逆にシンフジは4コーナーで外にふくれ、最後の直線での伸び脚もいまひとつだった。その間に食い込んできたのが、1コーナーでは最後方にいたキラメキビジョン。2コーナーあたりから上昇を開始して、上がり3ハロンの推定タイムはサブノタマヒメを1秒3も上回る38秒9を計時した。
「もともといい末脚を持っているんですよ。今日はいつもより行き脚がついた分、届いたのだと思います。でもサブノタマヒメは強い。追いつきそうなところまで来たら、また伸びましたからね」と、半馬身差で2着だったキラメキビジョンの堀場裕充騎手。シンフジは3着のエムザックベールから1馬身差の4着で、吉原寛人騎手は「もうすこし動けるはずなんですが、ついていけませんでした。中1週が続いたので疲れがたまっているのかも」と、首を傾げながら話した。
その吉原騎手も「あの馬を目標にすると、逆にこちらの脚がなくなってしまいます」と、勝ち馬の実力を評価していた。サブノタマヒメはデビューからの連勝を6に伸ばし、来場したオーナーと厩舎関係者は笑顔で記念写真に収まっていた。今後は「金沢シンデレラカップか、金沢ヤングチャンピオンのどちらか」(金田一昌調教師)という予定。その選択が前者ならば、グランダム・ジャパン2歳シーズンでの活躍が視野に入る可能性も出てくることだろう。
Comment
畑中信司 騎手
1枠で56キロ。負けるとしたら今日かなという気もしましたし、意外にペースが速かったので、どうしようかと考えましたね(笑)。前半は内ラチ沿いを進まされましたが、向正面で外に出してからは反応のよさを見せてくれました。最後の直線でも後ろから馬が近づいてきたところで、また伸びていました。
金田一昌 調教師
今の金沢の最内枠は厳しいので、騎手には向正面で外に出すようにと指示しました。着差は少ないですが、遊ぶ面が残っていますし、まだ余裕があるように感じました。ただ、その点はこれから直していこうと思います。セリでオーナーと一緒に選んだ馬がこんなに活躍してくれて、とてもありがたいです。