JBC指定競走である笠松競馬場のオータムカップは、金沢、兵庫所属馬にも出走資格がある交流競走。今年は金沢から1頭、兵庫から2頭の参戦があった。
　しかしその3頭は重賞クラスでの成績がいまひとつで、1番人気に支持されたのは地元のヴェリイブライト。愛知所属だった昨年の夏に笠松で重賞を制し、笠松所属として出走した過去2戦でともに2着に入っていた。続く2番人気は愛知所属ながら笠松コースで好成績を残すメモリージルバ。3番人気には兵庫のアリオンダンスが推されてレースを迎えた。
　この日の笠松競馬場は、時間を追うごとに雨が強くなる空模様。当初は稍重だった馬場状態は第6レースから重になり、砂が薄い外ラチ沿いには水たまりができていた。
　逆に内ラチ沿いは1馬幅くらいを空けて走らせる騎手が多く、全体的には差し馬が届きやすいという様子。それでも10頭の出走馬のなかで前走が逃げ切りだったライスエイトが先手を取ったのは、メンバー構成を考えると当然のことだろう。
　続く2番手にはメモリージルバ、ヴェリテがつけたが、1周目の4コーナーに差し掛かったところでヴェリテが先手を主張してきた。
　先行グループを形成した3頭の後ろは、最初のゴール板ではおよそ8馬身以上の差。向正面に入ったところでも馬群は2つに分かれていたが、3コーナー手前でライスエイトが失速。代わって後方からアリオンダンスやヴェリイブライトなどが先行グループに加わってきた。
　それでもメモリージルバは手応えに余裕がある雰囲気で、4コーナーの手前で先頭に。しかしその直後にアリオンダンスが迫ってきた。最後の直線入口では、インコースのメモリージルバとアウトコースのアリオンダンスがほとんど並んでのマッチレース。その争いはホームストレッチをフルに使って繰り広げられた。
　しかしメモリージルバには前半の貯金があった。追ってくるアリオンダンスに最後まで先頭を譲らず、ゴール地点ではクビ差をつけて勝利を飾った。
　メモリージルバはこれで重賞3勝目。そのすべてが笠松で挙げたものだ。「笠松だけで成績がいいのは不思議ですね。でも最近はもうひと息という結果が続いていたので、今日は勝ててよかったです」と、雨天のためにスタンド内に場所を移して行われた表彰式のあと、手綱を取った友森翔太郎騎手は笑顔を見せた。
　アリオンダンスは最後の追い比べに敗れたが2着。岡部誠騎手は「乗りかたとしてはベストだったと思います。でも最後は相手が伸びましたからね」と、納得している表情だった。
　3着には9番人気のダイヤモンドダンスが入線。その後ろは接戦となって、最後に大外を伸びてきた金沢のミキノハルモニーが4着に。単勝1番人気のヴェリイブライトは5着だった。
　ヴェリイブライトを管理する笹野博司調教師は「1800メートルは何度も勝っているのに、1900メートルではいまひとつ（9戦して4度の3着が最高着順）。丸野騎手も『距離かなあ』と言っていましたが、その100メートルの違いがねえ。オータムカップはJBC指定競走ですし、勝ったら次は京都とか考えていたんですけれど」と、残念そうに話した。