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第41回 2015年2月10日(金) ぞう煮(笠松競馬場)

笠松競馬場
「マルキン食堂」 ぞう煮(500円)

マルキン食堂の外観にも味があります
 笠松競馬場には何回も来ているが、レストランの「カフェ・イルファンティーノ」以外の、いわゆる昔からある食堂街の店には入ったことがない。笠松で何かを食べるときは、店先の屋台的なところで売られているおにぎりやから揚げがほとんどで、だいたいそれで事が足りるものだから、気楽な1本100円とかになりがちだ。
 でも以前から、1回も入ったことがないのはどうなのよ、という思いはあったので、「メニューはこちらですよ」と、店先で看板を示してくれたお店に入ることに。入口の上にはカタカナで「マルキン」と書かれている。
店内は広くないですが、メニューはたくさん
 店に入ってイスに座り、さて何にしましょうか……。と思ったところで、メニューの多さに驚いた。世の中でわりとメジャーどころのドンブリもの、うどん系、カレーにラーメンと、わりとお好み大食堂的なラインナップではないですか。
 そのなかで目に留まったのが「ぞう煮」の文字。えーと、これは時節柄で出しているわけではなくて、通年メニューなんですよね?
 と店主に聞くと、そうですとのこと。ならばそれを頼んでみますか。
 すると店主が外の屋台にいるお姉さんに「おモチちょうだい」とリクエスト。そうして調達されたモチが入った雑煮は、どんな姿なのかしら。
 しばらくして出てきたドンブリの中身は、見た目がとてもシンプル。しょうゆベースの汁は透明度が低く、味もけっこう濃い。駅などのきしめんも汁が塩からいことが多いけれど、これはそれを上回る感じがする。岐阜の雑煮はこんな感じなんですか?
「そうですね。しょうゆベースで、ほうれんそうとか小松菜とかを入れるぐらいですね」
 と、店主の山田一良さん。でも、ダシとしょうゆの香りがとてもいいので、それを楽しみながら心を落ち着かせていただくという感じで食べてみよう。正月気分でのんびりしつつ、ほうれんそうの下に沈んでいるモチを伸ばしながら食べていくと、あらら、次のレースの締め切り時刻。でもまあいいか。
「名古屋場外でも店を開けていますし、土日はJRAがありますからね。ほとんど休みなしですよ。息子がいちばん向こうでカフェをやっていますので、そこと交代交代で休みを取っていますけれど」
 ええっ!? 「カフェ・イルファンティーノ」はマルキン食堂の息子さんのお店なんですか? 提供しているメニューがまったく対照的ですけど!?
 いやあ、それは知りませんでした。笠松競馬場にある新旧の雰囲気が親子の手でつくられているとは、ちょっとびっくり!



浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。