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第37回 2014年10月10日(金) スパゲティナポリタン(佐賀競馬場)

佐賀競馬場
「亭謝馬」 スパゲティナポリタン(600円)

「亭謝馬」という店名がステキ
 佐賀競馬場の名物といえば、正面入口からまっすぐ進んだところにある「なんでも焼いてくれる売店」だが、食堂系の店も味のレベルはけっこう高いという気がする。しかしながら、昔はにぎわったはずの食堂街は、今やシャッター街に……。
 あれ、でも記憶にない店ができている。この時代に競馬場に店を新規で出すなんて、なんていい人なんでしょう。さて、どんな店なのかな。
 と店頭で様子を窺うと、店先にある看板の「たかな焼きめし」の文字に目を奪われた。焼きめし、いいねえ。と思って店に入ると、いきなりそれを食べている人がいた。うわあ、うまそう~。
 しかし店内の壁に貼られたメニューを見ているうちに、「ナポリタン」のほうに気持ちが移ってしまった。
 というのも、雰囲気的に「ここはレトルトを使わない店だな」と思ったから。だとするとナポリタンもおいしいはず!
内装はこんな雰囲気
 という考えに迷いが生じないうちに注文完了。すると予想通り、店の奥からフライパンを軽快に振る音が聞こえてきた。
 いやあ、見た目が昭和な感じでいいですなあ。まさに「洋食」ですわ。ハイカラな気分でフォークをくるくるっと回すと、玉ねぎが軽く焦げていていい香り!
 煮締まったトマトソースの塩加減はちょっと濃いめだが、それがまた次の一口へといざなっていく。こりゃうまいわ~、と感慨にふけりながら食べ進めていると、ひとりで店を切り盛りする女性店主が店の外に出かけてしまった。さらに、もう一人いた別のお客さんも散歩をしに店の外へ。あのー、あたくしが店番ですか?
 でも店主は3分ほどで戻ってきた。客を残したまま店を離れてしまうとは、なんて平和なんでしょう。するとこんどは「コーヒー、どうぞ飲んでいってね」と声をかけられた。店の中央にあるテーブルの上にコーヒーポットが置いてあるのは気づいていたけれど、やっぱりこれはサービスでしたか!
スパゲティナポリタン
「そう、おかわりもどうぞ。この店は今年の4月から。内装は前の人が残していったのをそのまま使っていますよ。テーブルや棚は寄せ集め(笑)」
 確かに店内のテーブルはどれも微妙に形が違う。家にあるような食器棚を食堂で見るのも珍しい。
「この店はわたしの老後の楽しみとして出させてもらったんです。競馬に来るみなさんとワイワイやれるなんて、楽しいじゃないですか」
 と、店主の藤木ヤス子さんはとても気さく。ただ、普段の開催日はのんびりマイペースでも、JRAのG1デーは一人で店を回していくのが大変そうだ。しかし藤木さんは、ホテルで朝食の仕事をしてから競馬場に来ているとのこと。そのバイタリティなら千客万来でも大丈夫かな?
 改めて店内を見てみると、壁に調理師の免許状が飾ってあった。ということはつまり、キャリア豊富な料理人ということですか。なるほど、道理でナポリタンを作るフライパンの音が軽やかだったわけだ!
 となると、焼きめしもその技でおいしく作ってくれそう。次に佐賀に来たときには食べたるぞ!



浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。