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第34回 2014年7月10日(木) 焼きそば(川崎競馬場)

川崎競馬場
「1号スタンド売店」 焼きそば(400円)

 川崎競馬場は、個人的にもっとも多く行っている競馬場のひとつ。当然、トータルでの滞在時間も長いわけなのだが、だいたいは場内では何も食べない。現地に着くのはナイター開催だと午後6時くらいになることが多いし、最終レースが終われば仲間たちと飲み屋かレストランに向かうことがほとんどなので、場内で食事をする必要性があまりないのだ。
行列ができる売店

 7月2日も川崎競馬場に着いたのは午後6時すぎ。ただ、この日は早朝から美浦トレセンにいたので、なにか食べようかなという気分ではある。
 と思いながらパドック付近を徘徊していたところで、パドック横の売店に並んでいる、岩手競馬を愛する男、横川典視さんに遭遇。すると「焼きそば食べましょうよ~。おごりますから~」と言ってくる。その攻撃に「いや、あの、その……」とあたふたしているスキに、横川さんは早くもやきそば2パックを注文していた。まじですか。
 でも考えてみれば、パドック横の売店(この店は屋号がない)の、ファンの間では「スパイシー焼きそば」と呼ばれている名物料理は、2年ほど食べていないような気がする。もう渡されてしまったことだし、これを今日の夕食にしましょうか。
 しかしまあ、昔からそうなのだけれど、このスパイシー焼きそばは量が多い。おそらく1パックあたり500グラムはあるのでは。昭和の高度成長期に臨海地区にある工場などで働き終わった人々が、3交代制の仕事明けに突撃した川崎競馬場で刺激的な味覚とともに大きな胃袋を満たしていた……。掌の上にずっしりとした重みがある焼きそばを乗せると、そんなかつての風景さえ想像されて頭のなかに描かれていく。
 でも食べるその前に、写真を撮らねば。場所は1号スタンド2階で催されているガールズバーの机を借りよう。けっこう賑わっているなあ。
 そこで焼きそばの写真をセルフで撮ること十数枚。なかなか自分で箸を使って、それで写真も撮るのって難しい……。すると地方競馬を愛する荘司典子さんが「手タレやりますよ~」と申し出てくれて大助かり。焼きそばの写真には荘司さんが友情出演しております。
 写真を撮ったら食べましょう。私のお気に入りの観戦場所、スタンド2階のベランダに移動して、トークイベントを鑑賞しながら焼きそばタイム。小エビの香りがとてもよくて、スパイシーさも香辛料で直球勝負という感じではなく、適度なアクセントという味付けになっている。5年くらい前はもっと辛かったような気がするんだけどなあ。時代とともに少しずつ変化しているということかしら。
青いsamurai(500円)

 それでも、ずっしりとした焼きそばがすんなりと胃の中に滑り込んでいくのは今も昔もまったく同じ。途中で飽きがこないというのは、このなかに含まれている数々のスパイスのおかげだろう。私も自宅で焼きそばを作るが、この味はなかなか再現できるものではない。
 次の機会には、バールで提供されているオリジナルカクテルと一緒に食べたいなあ。今日はクルマで来たもので、名酒・上げ馬を使用したオリジナルカクテル『青いSAMURAI』を飲めなかったのがちょっとくやしい。



浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。