第5回 2012年2月10日(金) カレーラーメン(船橋競馬場)

船橋競馬場
カレーラーメン(550円)


 いきなりだが、私の好物のひとつはラーメン。日本にあるスタンダードな味としては、塩、しょうゆ、みそ、それにとんこつが挙げられると思うが、私はメニューにカレーラーメンがあると、たいていの場合はそれを注文してしまう体になっている。
 私がカレーラーメンを初めて食べたのは、北海道は苫小牧のラーメン店。あのときは実に衝撃的だった。ほとんどの子供が好きな食べ物であるラーメンとカレーを合成するということを、なんで今まで思いつかなかったのか!
 あれからおよそ10年。そのコラボレーションを知ってしまった私は、自宅で作ったカレーが余ったときには、粉末スープを入れたインスタントラーメンにカレーをドボドボ入れて煮るというワザを実行している。ぜひみなさんもお試しを。ウマいっすよ。

 しかし「カレーラーメン」の文字は、私の自宅の近所ではまったく見られない。ホッカイドウ競馬では「室蘭カレーラーメン特別」というレースまで行われているというのに。そういえば、カップラーメンの定番商品には「カレー」だってある。なのになぜ、いわゆる「ラーメン店」になるとその姿が見えなくなってしまうのだろうか?
 でも私が知る限り、「カレーラーメン」は帯広、大井、船橋の各競馬場で食べられる。単純に同じ店でラーメンとカレーライスを提供しているからトッピングしやすい、ということなのかしら?
 「そうですね。普通のラーメンにカレーを入れているだけですよ」
 とは、船橋競馬場の2階にある「共生会」のおばさま。見た目も普通のしょうゆラーメンの上にカレーがこんもりと乗っかっているだけだ。というわけで、これを「カレーラーメン」として食べるために、最初にすべきことは攪拌作業。ひととおり混ぜて透明感がなくなったスープに麺を絡めると、1+1が3にも4にもなるのだから面白い。なんでこんなにウマいものがいまひとつメジャーになれないんだろう。

 「いつも注文してくれる人も多いですよ。お客さんが使っているレンゲも、常連さんがプレゼントしてくれたものなんですよ」
 そのレンゲの底部に描かれているのは「カレラー友の会」という文字。使い込まれているので「ー」の部分は消えてしまったらしい。しかしまあ、オリジナルのレンゲをわざわざ作ってくるなんて、なんて熱烈なファンだこと!

 「でも、その人はしばらく来てないわねえ。元気にしているかしら?」
 そうなんですか。でもその人が久しぶりに来店したとしても、必ずやカレーラーメンを食べることができるはず。この店のメニューに「ラーメン」と「カレーライス」の2つがある限り!

文・写真●浅野靖典

浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。


 ※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。