第3回 2011年12月9日(金) みそかつ丼(名古屋競馬場)

名古屋競馬場
みそかつ丼(豚汁つき850円)


 元気がいいおばちゃんは、大阪の代名詞のひとつだと思うが、個人的には東海地区にもそういう人が多いという印象がある。笠松競馬場といえばまっさきに、正門のところでひたすら新聞売りの呼び込みを続けているおばちゃんを思い出すし。そして名古屋競馬場でもまた、元気なおばちゃんに遭遇したのだ。

 場所はパドックにいちばん近い食堂、大島屋。とある金曜日の午後2時半頃、「やっぱり名古屋といえば、みそカツだよね〜」と言いながら5人でお店に入り、「みそカツ丼4つとラーメンひとつ!」と注文をまとめておばちゃんに告げたのだ。すると、
 「みそカツ丼? えーとね、カツがあと1人分だけになっちゃったのよ。じゃあね、あとの3人はから揚げ定食にしなさい。ね!」
 と、勢いよく圧力をかけられてしまったのである。そう言われてしまえば「じゃあ、それでいいです」と苦笑いしながら答えるしか仕方がない。でもどうやらほかの3人は、この店でみそカツ丼を食べたことがあるらしい。ということで、唯一のみそカツ丼は私のもとに来ることになった。よかった、年末の人情話みたいにならなくて。

 揚げ物は注文があってから油の海に投入しているらしく、みそカツ丼が出てくるまでの所要時間は約5分。待ち焦がれた末に登場してきたのは、ぶ厚い断面のみそカツ丼だった。なるほど、これは人気があるのも納得の見た目。食べてもトンカツがズッシリしているからドンブリ全体が力強い。うーむ、これはなかなかですぞ。強制的にから揚げ定食になってしまった皆さん、すいませんねえ。
 「こっちもおいしかったから大丈夫ですよ」
 なぬ? だったらちょっと味見をさせて……、と思ったら、私がみそカツ丼を撮影して、そして感心しながら食べているうちに、みんな完食しているじゃないか!
 なんだい、残念。ならば次の機会にはから揚げ定食を頼んでみるか。でもみそカツ丼もウマかったしなあ。そうか、次はまた何人かで入って、それぞれシェアすればいいんだ。みんなで「一杯のみそかつ丼」「一皿のから揚げ」を分け合って食べよう!

文・写真●浅野靖典

浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。


 ※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。