ウェブハロン

いよいよヤングジョッキーズシリーズ（YJS）トライアルラウンドも西日本地区は最終戦の笠松を迎えた。

木本直騎手（兵庫）は「今年は新型コロナウイルスの影響で実施できないかもと思っていたので、感謝しています」と、この日は1競走の騎乗。同じく出水拓人騎手（佐賀）も1競走の騎乗だ。

「連勝すれば、ファイナルに行ける可能性がありますよね」と3日前から気にしていた妹尾将充騎手（高知）は今回が初めての笠松競馬場。同じく初めて笠松競馬場に来た魚住謙心騎手（金沢）はエキストラ騎乗をし、「内をピッタリ回ってくるレースは新鮮です」と目を輝かせた。

対照的に、浮かない表情なのは深澤杏花騎手（笠松）。ここまで2戦して「11ポイントしか持っていないんで……」とのこと。それを聞いた地元の元2000勝ジョッキー・東川公則調教師から「テン乗りの練習やと思って。今年がダメでも、来年へのステップになるから」と心構えについてアドバイスを受けていた。

なお濱尚美騎手（高知）が負傷のため、兼子千央騎手（金沢）と浅野皓大騎手（愛知）がそれぞれ1競走騎乗することになった。

第1戦は團野大成騎手（JRA）がやや抜けた1番人気で単勝1.8倍。2番人気は東川慎騎手（笠松）で4.3倍、続いて泉谷楓真騎手（JRA）が4.7倍、岩田望来騎手（JRA）が8.8倍だった。

人気の團野騎手が好スタートからハナに立ち、東川騎手がその外につけた。向正面で早々に齋藤新騎手（JRA）が進出を開始したが、「スローに落としていたので、誰かが来るだろうなと準備をしていました」と團野騎手。3コーナー過ぎから徐々に後続を引き離し、メイショウセントレと團野騎手が押し切って勝った。

3馬身差の2着は6番手インから4コーナー手前まで「前が空くのをじっくり待ちました」という妹尾騎手が直線で伸びて3馬身差の2着。3着は「勝ちたかったー」と東川騎手。4着の泉谷騎手は報道陣を見つけると真っ先に「4着って何ポイントですか？」とポイント計算で頭がいっぱいの様子で、5着の齋藤騎手も「次の最終戦はポイント2倍にならないですかね」と話した。

第2戦は、全馬が前走で勝っているメンバー構成。中でも岩田騎手のルーラーザクイーンが他馬より持ち時計が2秒以上速く、単勝1.1倍、複勝は1.0倍という断然人気に推された。2番人気は魚住騎手の7.5倍で、単勝10倍以下は2頭のみだった。

先手を取ったのは出水騎手。2番手外に兼子騎手がつけ、断然人気の岩田騎手は先団を見る7番手インにつけた。向正面半ばでは各馬が積極的に動き始めたが、岩田騎手は冷静に運び、直線入口で前にいた各馬が外に行ったところ、すかさず内を突いて3馬身差で勝利。これにより、トライアルラウンドの順位決定基準となる上位4競走の合計得点が岩田騎手は120ポイント、つまり1着4回という史上最多獲得ポイントでJRA西日本トップを守った。

2着は大外から伸びた東川騎手。しかし、1着でなければファイナル進出ラインに届かないことを把握していたようで、引き上げてくるなり、「また来年！」と父・公則調教師共々、口にした。

惜しかったのは3着兼子騎手もそう。ここで2着に入っていればファイナル進出ラインの4位に浮上する可能性があったのだが、「最後は同期の（東川）慎くんにやられました」と、クビ差で涙を飲んだ。4着は魚住騎手、5着妹尾騎手だった。

この結果、ファイナル選出基準となる上位4名は、地方西日本は塚本雄大騎手（高知）、金山昇馬騎手（佐賀）、出水騎手、細川智史騎手（愛知）。このうちTR笠松に唯一騎乗していた出水騎手は「今日は良くないレースをしてしまったので……」とガックリと肩を落とし、来月のファイナルのことを考えるよりも、今日の気持ちの切り替えに専念したい様子だった。

細川騎手はTR笠松に騎乗はなかったが、この日は笠松で騎乗をしており、先輩騎手から「4位に残ったって！」と知らされると、淡々とした表情で「ありがとうございます。東海代表としてがんばります」と話したが、胸の内は「めちゃくちゃ嬉しいです」とのことだった。

JRA組はというと、團野騎手がポイントを上乗せしてJRA西日本2位に浮上。泉谷騎手はあと一歩届かず、川又賢治騎手と亀田温心騎手が上位4名に残った。

翌5日は大井競馬場で最後のトライアルラウンド。その後、正式にファイナルラウンド進出騎手が発表される。4回目にして初めて西日本で実施されるファイナルラウンドに駒を進めるのはどの騎手か。