東日本地区で実施されるヤングジョッキーズシリーズトライアルラウンドは、9月29日の船橋競馬場が中間点。地方からは10名、JRAからは6名の騎手が出場した。地方所属のうち、小野楓馬騎手(北海道)、仲原大生騎手(大井)、大木天翔騎手(大井)、中島良美騎手(浦和)は1鞍のみの騎乗。そしてデビュー早々、経験値を増やすために他地区へと修業に出た池谷匠翔騎手(川崎所属で現在は北海道)と田中洸多騎手(大井所属で現在は岩手)が南関東に戻ってきた。
池谷騎手は「明日、門別に戻って今年の最終日の前日まで乗って、その次の日が大井のトライアルラウンドです」というスケジュール。田中騎手は「盛岡のトライアルラウンドのときはまだ大井にいたので、同期と会うのは久しぶりです」と笑顔を見せた。また、田中騎手は2鞍の騎乗後に「若手騎手だけでのレースは気持ち的に楽ですね。でも燃えるような感じもあります」と話していた。
その言葉の裏側にあるのは、ファイナルラウンドへの意欲だろう。東日本地区の地方騎手は、これまでの4戦で勝利を挙げたのが小野騎手だけで、2着も櫻井光輔騎手(川崎)だけ。そのため、すべての出場騎手にファイナル進出の可能性が残っている。まして第1戦はC3クラスのメンバーで、近走成績をみても混戦模様。池谷騎手が単勝2.6倍とやや抜けた支持を集めたが、割れたオッズになっていた。
福原杏騎手(浦和)が「船橋の1700メートルは特殊ですから」と話した第1戦の舞台。好スタートを決めて先行したのは小林凌大騎手(JRA)と秋山稔樹騎手(JRA)で、そこに大外枠から池谷騎手が加わった。後続の各騎手も前の位置を取ろうと意識したためか、1コーナーでは多くの馬が横に広がる形になった。
隊列が落ち着いた向正面では位置取りの変化がほとんどなく、徐々に14頭の差が縮まる展開に。3コーナー手前あたりでは後方にいた大木騎手、原優介騎手(JRA)などが上昇を開始したが、先行した各馬の余力は残っていた。勝利を挙げたのは、道中では3番手を進んでいた秋山騎手。2番手だった池谷騎手が2着に入り、4番手前後をキープしていた福原騎手が3着。最後の直線で差を詰めてきた赤津和希騎手(浦和)は、3着とはアタマ差の4着だった。
その結果に反省していたのが池谷騎手。4コーナーで先頭に立ったところで少し外に膨らんでしまい、直後にいた秋山騎手に進路を与える形になったことを「この経験を次に生かしたいです」と、笑顔なく話した。
ひとつレースをはさんでの第2戦は、C2クラスではほとんど実施されない1800メートル戦。出走馬で唯一、船橋での1800メートルに経験があるガイディングスターにしても、一昨年6月のヤングジョッキーズシリーズ以来だ。馬も騎手も大半が不慣れという条件ならば、スローペースになったのは仕方ないところで、しかも出走14頭がすべて、前走で勝ち馬からコンマ9秒以上の差で敗れているという成績。
出遅れた櫻井騎手が1コーナー手前で2番手まで位置取りを上げたのは、9番人気で6着という結果を見ても正解だったといえるだろう。そして向正面で福原騎手が、最後方から一気に上昇して先頭に立ったのもまた、3着という結果を見ると正解といえる判断。
レース全体としては出入りが多い形になったが、2番人気馬で4番手あたりを進んだ池谷騎手は落ち着いていた。またも4コーナーで先頭に立ち、今度は後続に差をつけての押し切り勝ち。2着には3コーナーから徐々に位置取りを上げた仲原騎手が入った。後方からは赤津騎手が第1戦と同じように差を詰めてきたが、2戦連続で福原騎手に続く4着だった。
その結果に赤津騎手は「僕はあと1鞍の予定ですから、もうダメですよね」と話したが、まだファイナルラウンドに進める可能性は残っている。現時点では池谷騎手が1位だが、2位の関本玲花騎手と8位の赤津騎手の差は16ポイント。それならば、10月21日のトライアルラウンド浦和の結果次第になる。田中騎手は6着と5着で「馬の能力を出し切れなかったです。くやしい」と話していたが、同じく4位以内に入れるチャンスは十分にある。
一方のJRA騎手は、盛岡で2勝を挙げた原騎手が引き続き1位。それでもファイナルラウンドに進める4位以内に入る可能性は全員にある。山田敬士騎手(JRA)は2戦とも2ケタ着順だったが「今日はケガで出られなかった菊澤一樹騎手の代わり。だからノーカウントでいいですよね」と、この日の結果を気にしていない様子だった。
Comment
第1戦1着 秋山稔樹騎手(JRA)
外からかぶされる形になりましたがインコースで我慢して進めて、4コーナーでは前が開いたので、そこを抜けてくることができました。うまくいったなと思います。美浦所属からはファイナルに8人のうち4人が行けますから、これでけっこう近づくことができたかなと思います。
第2戦1着 池谷匠翔騎手(川崎)
向正面で外から一気に来られたとき、自分もつられて行きそうになったのですが、そこで抑えることができました。最後まで手応えがよかったので、これなら大丈夫だと思いましたし、第1戦の経験をいかすことができました。これが南関東の競馬場での初勝利なので、とてもうれしく思います。