西日本地区でのヤングジョッキーズシリーズ(YJS)開幕戦となったトライアルラウンド園田。暑い日差しが降り注ぐ中、JRA5名、地方7名によって行われた。各地で少しずつファンの入場が再開されているものの、園田競馬場では引き続き無観客競馬。騎手紹介式がない代わりに、ライブ中継のなかで各騎手の意気込みVTRが流された。
「今年が最後のYJSなので頑張ります!」と話したのは長谷部駿弥騎手(兵庫)、石堂響騎手(兵庫)、出水拓人騎手(佐賀)。3人とも今年4月以降に地方通算101勝目を挙げ、減量騎手を卒業した。また、川又賢治騎手(JRA)も勝利数で見習騎手を卒業しており、森裕太朗騎手(JRA)はデビュー5年目で今年が最後の出場。若手騎手の中でもキャリアを積んだ騎手が多い戦いとなった。
第1戦は1400メートル。スタートから出ムチを入れた長谷部騎手に、外から木本直騎手(兵庫)が並びかけ、1番人気の岩田望来騎手(JRA)はそのうしろからレースを進めた。YJSらしいハイペースになるかと思われたが、「2コーナーで一気にペースが落ち着きました」と後方にいた亀田温心騎手(JRA)。先頭から最後方までかたまって向正面に入った。
勝ったのは4コーナーで外めを上がっていった川又騎手。騎乗していたハシノオージャはホライゾネットを着用していたことから気性の難しさが感じられたが、テン乗りで結果を残した。YJS1年目から参戦する川又騎手にとって、意外にもこれがシリーズ初勝利。「素直にうれしいです。地方競馬には交流レースでよく乗りに来ていたのに、YJSではいい結果を残せず悔しくて、今年こそはって思いでした」と笑顔を見せた。
半馬身差の2着は道中、内をロスなく回った出水騎手。さらに2馬身半差の3着・東川慎騎手(笠松)はデビュー年の昨年、ケガでYJSを欠場し、今年が待望の初出場。「地元の笠松みたいに内を回りすぎちゃって、もう少し外を回っていればワンチャンスあったかな、と悔しいです」と、初園田の感想を語った。4着は「なかなか反応してくれませんでしたが、最後まで脚を使ってくれました」と亀田騎手、5着は「展開的にキツくなってしまい、ずっと息が入らないまま乗ってしまったのが敗因ではないかなと思います」と岩田騎手だった。
第2戦も同じく1400メートルだが、近4走で逃げた馬が1頭もいないというメンバー構成。スタートから促し気味に行ったのは先月のCBC賞GⅢで重賞初制覇を遂げた齋藤新騎手(JRA)。そこへ好スタートを決めた多田羅誠也騎手(高知)が並びかけ、2頭並んだハナ争いは1コーナーを回って多田羅騎手が前に出た。その2頭を見ながら岩田騎手が続き、3コーナーで出水騎手が外から進出。そこに兼子千央騎手(金沢)、石堂騎手が加わって、6頭がほぼ横並びで4コーナーを回った。
直線で伸びて勝利したのは岩田騎手。1戦目に続く1番人気の支持に今度こそ応えた。昨年はJRAトップでトライアルラウンドを通過した彼は「1年前よりだいぶ筋力がついて、折り合いもつけられるようになりました」とさらなる進化を遂げ、今年もファイナル進出を目指す。
半馬身差の2着は「前に行く馬が少なかったので、この馬にとっては理想の位置が取れました」と石堂騎手、さらに半馬身差3着に出水騎手、4着兼子騎手、5着齋藤騎手だった。
出水騎手は第1戦に続き上位着順のポイントを得たが、「勝ちたかったなぁー!」と第一声。ともにあと一歩だっただけに「反省点を改善していけるよう頑張ります」と悔しさをにじませた。
新型コロナウイルスの影響で、夏になってようやくスタートできたYJS。若者たちは大粒の汗を流しながら、「ファイナルに進みたい!」と目を輝かせた。
Comment
第1戦1着 川又賢治騎手(JRA)
初戦から1着で安心しました。気の悪さや、あまり前向きではない面を感じたので、馬の気分を害さないように乗りました。向正面に入ったくらいで馬にエンジンがかかって、任せて乗ったら勝つことができました。初めてYJSで勝てたので、波に乗っていい結果を残せるよう頑張ります。
第2戦1着 岩田望来騎手(JRA)
先行馬がいなかったので、この馬のリズムで行けたらと思っていました。1戦目はYJSらしい流れで、2戦目もそうなるんじゃないかと思って、動きたいタイミングで動けたのが勝因ではないかと思います。この勢いでトライアルラウンドを勝ち抜いて、(ファイナルの)園田に帰ってきたいです。