特集
グランダム・ジャパン2018
GRANDAME-JAPAN2018
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で9年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ
「GRANDAME-JAPAN2018(グランダム・ジャパン2018)」を実施します。
全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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水沢 1,900m
一騎打ちを制し3連覇の偉業達成
南関東へ移籍し悲願の女王奪取へ
ダブル台風19、20号の日本列島への接近、上陸で、この週末は全国の競馬開催が心配されたが、幸い開催中止の場はなし。水沢のビューチフルドリーマーカップも湿度こそ高かったが、曇、良馬場のコンディションで無事実施された。
昨年まで7年連続遠征馬が勝利、そのうち6回優勝の北海道勢が強いレースであるが、ジュエルクイーンがノースクイーンカップ優勝をステップに、このレース3連覇を狙ってエントリー。一方大井からは、兵庫サマークイーン賞(園田)を2着した、昨年のグランダム・ジャパン3歳シーズン優勝馬ステップオブダンスが参戦。すでにグランダム・ジャパン古馬シーズンのポイントを持つ2頭の登場となり、人気はこの2頭に集中。単勝は1番人気ジュエルクイーン1.8倍、2番人気ステップオブダンス2.1倍。2頭を組み合わせた馬連複は1.3倍、支持率54%とまさに一騎打ちの様相となった。
レースはステップオブダンスが先頭に立ち、単勝3番人気のアリッサムとジュエルクイーンが追う形で隊列を形成。人気上位馬が先行しての展開に、ジュエルクイーンの五十嵐冬樹騎手は「思っていた展開と違った。ステップオブダンスは後ろからと思っていた」と、この流れにヒヤヒヤしていたようだ。前半スローに流れ、2コーナーから逃げ馬のペースが上がる展開に、後続は徐々に脱落。3コーナーを回るあたりからステップオブダンスがリードを広げ始め、ジュエルクイーンの手応えは今ひとつ。田中正二調教師が「もうダメかという時もあった」というように、観戦する側も「勝負ありか」と感じながら、各馬が最後の直線を迎えた。
それでもジュエルクイーンは最後の気力を振り絞り、残り100メートルあたりからジワジワと差を詰めて、ゴール寸前でアタマ差ステップオブダンスを捕らえた。レースの上がり3ハロン38秒3は、1900メートル戦としては速く、2番手からとはいえこれを差し切ったのは見事としか言いようがない。他地区へ遠征しての重賞3連覇は、グランダム・ジャパンのシリーズとは切り離しても、やはり大偉業と言えるだろう。
田中正二調教師は「すごい底力だと思った」とレースを振り返った。冒頭に台風の接近と記したが、門別から遠征のジュエルクイーンは、台風の影響を考えて輸送を1日早めての水沢入り。その影響もあってかエサ食いが悪くなり、馬体重は前走比マイナス20キロとなっていた。昨年もマイナス18キロだったが、その時はノースクイーンカップのあとにブリーダーズゴールドカップJpnⅢを挟んでおり、中9日のハードスケジュール。今年のマイナス体重とは意味合いが違うだけに、その言葉となったのだろう。
ジュエルクイーンはポイントを加算して、グランダム・ジャパン古馬シーズン暫定首位のディアマルコを追撃する位置に浮上、2着ステップオブダンスも暫定順位を上げた。ジュエルクイーンは輸送面も考慮して、次走レディスプレリュードJpnⅡには南関東へ移籍して挑む予定とのこと。古馬シーズンでは過去3年6、2、3位のジュエルクイーンが今年こそタイトル奪取となるか、順調に最終戦へ向かうことを願いたい。
取材・文:深田桂一
写真:早川範雄(いちかんぽ)
コメント
ステップオブダンスは後ろからと思っていましたが、(先行したことで)イヤらしい展開でした。向正面でも反応が悪くて離され、残り100メートルくらいになって届くかと思いましたが、4コーナーあたりまではヒヤヒヤしました。馬体が減っていましたが、それを考えればよく頑張ったと思います。
馬体減があったので、今日はもうダメかなという時もありましたね。台風で1日早く輸送した分、エサを食わなかった。いつもより気合いがなく、大人しかったのですが、すごい底力だと思いました。次走は南関東へ移籍して大井のレディスプレリュードへ向かう予定です。