特集
グランダム・ジャパン2018
GRANDAME-JAPAN2018
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で9年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ
「GRANDAME-JAPAN2018(グランダム・ジャパン2018)」を実施します。
全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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門別 2,000m
4コーナーで内を突く鞍上の好判断
直線突き放しダートグレード初制覇
牝馬限定のダートグレードに生まれ変わった2014年以降、勝ち時計は2分8秒台の競馬が3回あり、最速でもコースレコードから5秒2も差がある2分7秒4と、牝馬にとって過酷な舞台であることを物語る。
ここ数年、門別競馬場は開催日に雨が降る日が少なく、例年以上にタフな馬場での競馬が目立っていた。昨年の2歳戦で、ダブルシャープとミスマンマミーアが、力の要るダートで勝ち切れない競馬が続き、何とかアタックチャレンジで認定勝ちを収めた。その馬たちが、中央の芝で信じられないような変わり身を見せたことを思い出す。
今年は6月下旬から7月上旬に雨が降り続いた時はあったが、それ以降、比較的天気には恵まれることが多く、不良馬場のレースが少なかった。芝向きの馬が存分に力を発揮できず、コスモス賞(8月11日・札幌)を快勝したナイママも、2戦目のターフチャレンジⅠで2着に敗れていた。
しかし、ブリーダーズゴールドカップJpnⅢを迎えた今週の天気は崩れる日が続き、14日は終日重馬場、15日から不良馬場へと悪化した。この週の傾向から、持ち時計のある馬が俄然有利で、平穏な決着となるレースも多かった。ブリーダーズゴールドカップJpnⅢは、重馬場だった昨年でも2分8秒4という勝ち時計だったが、水が浮く今年の馬場なら、一気に時計を詰めることが想定できる。
ダートグレードの常連はもちろん、芝のタイトルホルダーや成長著しい3歳馬、5歳を迎えて本格化した馬など、今年のJRA勢は、例年以上に層が厚い。それに加え、C.ルメール騎手、M.デムーロ騎手、そして門別初参戦のJ.モレイラ騎手など、豪華メンバーが集まり、レースへの関心度も高まった。
予想通り、プリンシアコメータが先行したが、最初の3ハロンのレースラップは11.8 - 11.4 - 12.6=35秒8のハイラップを刻んだ。その後は12.5 - 12.6 - 12.5、ペースを緩めることなく、快調に飛ばしていき、徐々に縦に長い展開になっていく。
このペースでついていけるのは、やはりJRA勢のみ。しかし、1番人気のクイーンマンボは、「道悪になったことで、忙しいレースになってしまった」と、ルメール騎手が話していたが、ハイペースに戸惑いを見せ、なかなか前との差を詰めることができずじまいだった。また、4コーナーでプリンシアコメータの戸崎圭太騎手の手応えも良く映り、そのまま押し切るかと思った瞬間、内からスルスル上がってきた馬がいた。
「内が深いと聞いていたので、ラチ沿いを避けて勝負どころを回った」と、戸崎騎手も最善の策を取った形だが、皐月賞(2012年)でのゴールドシップを彷彿とさせるラビットランとデムーロ騎手の好判断が、トップスピードに乗った直線で一気に後続を突き放した。レースの上り3ハロンが39秒2だったが、掲示板を独占したJRA勢でこれより速い上りをマークしたのはラビットランのみ。ローズステークスGⅡ以来の勝利は、道悪のダートで新たな一面を見せた。
京都で開催される今年のJBCレディスクラシックは、例年以上の高速決着が想定される。この日のハイペースは、京都特有の速い競馬につながるレースになったと言えるだろう。芝のタイトルホルダーが制し、牝馬のダート路線は混沌とし、より面白くなってきた。
地方競馬全国協会理事長賞の副賞として畜産品が贈呈された
地方勢最先着は6着のブランシェクール(大井)
取材・文:古谷剛彦
写真:浅野一行(いちかんぽ)
コメント
久しぶりにラビットランに乗りましたが、馬体の成長とともに落ち着きが出た印象を受けます。逃げ馬が内を開けて走っていたので、4コーナーは内を突きましたが、斤量を背負っているので、ロスなく回れたのはラッキーでした。ダートでも強い内容を見せることができ、今後が楽しみです。
門別は砂が深いと聞いていたので、雨が降って時計の出やすい馬場になったのは、ラビットランにとっては好材料でした。芝でも重賞を勝っている馬ですが、この勝利でいろんな方向性が見出せることができました。JBCレディスクラシックも、目標のひとつになったと思います。