特集
グランダム・ジャパン2018
GRANDAME-JAPAN2018
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で9年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ
「GRANDAME-JAPAN2018(グランダム・ジャパン2018)」を実施します。
全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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川崎 1,600m
強気の3コーナー早め先頭が奏功
2歳時JpnⅠ勝ちの川崎で復活
エンプレス杯JpnⅡ、マリーンカップJpnⅢを連勝したアンジュデジールと、JRAの平安ステークスGⅢで2着に食い込んだクイーンマンボが一歩抜け出した印象のダート牝馬戦線だが、今回はその2頭が不在。実績上位のワンミリオンスに、主に短距離で結果を残してきたオウケンビリーヴ、全日本2歳優駿JpnⅠを制しているリエノテソーロなどがどう対峙するか。今後のこの路線を占ううえでも重要なレースとなった。
ハナを切ったのは船橋のオルキスリアン。祖母ロジータの血が騒いだか、軽快な先行力を見せて馬群をリードする。切り返して2番手につけたのがリエノテソーロで、オウケンビリーヴやラビットラン、ラインハートなどが先団を形成。地方勢で最上位となる5番人気に推されたブランシェクールは、スタートでつまずき後方からの競馬となった。
いったんは13秒台のラップも刻んだオルキスリアンだが、向正面に入ってペースアップ。それでも2番手のリエノテソーロと吉田隼人騎手は、後続の動きを見ながら早めにオルキスリアンを捉えにいき、3コーナー過ぎで先頭に立った。一見強気に見えるこの判断が、今回の結果を大きく左右した。
直線でもしぶとい粘りを見せるリエノテソーロ。二枚腰を見せていったん突き放しながらも、再度迫られる厳しい競馬となったが、それでも半馬身のリードを保って先頭でゴールに飛び込んだ。
レース後、武井亮調教師は「外からかぶされると良くないから」と口にしたが、多少強引にも見えた早めの仕掛けは、外からかぶされるのを懸念してのもの。デビューからほぼ手綱を取り続け、馬の性格を知り尽くした鞍上・吉田隼人騎手の好判断と言っていいだろう。GⅠ/JpnⅠを制しながらも、苦しい時期を共にしてきたコンビが、思い出の川崎で高らかに復活を宣言した。
2着のオウケンビリーヴは初めてのダートグレード参戦だったが、近親にトゥザヴィクトリー(2001年ドバイワールドカップGⅠ・2着)やビーポジティブ(02年クイーン賞GⅢ)などがいる血統らしく、いきなり能力の高さを示した。クリストフ・ルメール騎手は「タイトなコーナーで、少しもたれる面を見せた。広いコースのほうが合うと思う」と話しており、舞台が替われば走りもさらに違ってくるはず。今回は1番人気に応えられなかったが、今後も目が離せない存在となりそうだ。
地方勢では転入2戦目のブランシェクールが5着。JRA在籍時にTCK女王盃JpnⅢで2着があるだけに期待されたが、スタートでつまずき最内枠がアダとなってしまった。それでもメンバー最速となる上がり3ハロン37秒4の末脚を見せており、格好はついた。先々のレースぶりに注目したい。
この路線の常連ワンミリオンスが4着という結果に終わり、さらにGⅠ/JpnⅠ勝ちの実績馬が復活したとなれば、より混戦に拍車がかかった印象。JBCレディスクラシックJpnⅠへ続く覇権争いは、さらなる盛り上がりを見せそうだ。
地方勢最先着は5着のブランシェクール(大井)
取材・文:大貫師男
写真:築田純(いちかんぽ)
コメント
全日本2歳優駿を勝って以来、ここまで勝つことができていなかったのでホッとしています。また川崎で勝つことができたのも良かったですね。スタートがあまり良くなかったですが、いい位置につけられたし、3コーナーで有力馬がかぶせてきたけど、最後までよく我慢してくれました。
他馬にプレッシャーをかけられると良くないところがあるので、そういった場面を想定した調教を積んできました。3コーナーで外からかぶせられて『あっ』と思いましたが、調教の成果が出たのかもしれません。次走は未定ですが、秋はJBCレディスクラシックを目標に仕上げていきたいと思います。