グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
スパーキングレディーカップ JpnⅢ 7/6(木) 川崎 1,600m 南関東
ノースクイーンカップ 7/20(木) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 7/28(金) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
読売レディス杯 8/8(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ブリーダーズゴールドカップ JpnⅢ 8/17(木) 門別 2,000m 北海道
ビューチフルドリーマーカップ 8/27(日) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9/5(火) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
レディスプレリュード JpnⅡ 10/5(木) 大井 1,800m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で8年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2017(グランダム・ジャパン2017)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

内に進路を見出し直線振り切る
断然人気にこたえ北の女王に

 グランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズン2戦目は、レース名の通り“北の女王”決定戦。地元ホッカイドウ競馬から7頭、岩手からユッコが参戦し、計8頭が出走した。
 注目は、先月の牝馬重賞ヒダカソウカップを9馬身差で圧勝したジュエルクイーン。不良馬場とはいえオヤコダカの持つ門別1600メートルのレコードタイムを0秒5短縮するスピードは圧巻。単勝は1.4倍に支持された。
 メインの夜8時台になると半袖では寒い門別競馬場。レースはそろったスタートから、大外バラブシュカが積極的に先頭を奪う。団子状態で、ジュエルクイーンは包まれる格好になり4番手。2番人気のビービーバーレルは、前走でジュエルクイーンにマークされ厳しい展開になったのとは逆に、ジュエルクイーンを前に見ながらレースを進めた。
 1000メートル通過までは1分5秒台のスローペースだったが、3コーナー手前からレースが動いた。ジュエルクイーンの五十嵐冬樹騎手が内ラチ沿いにコースを取る。そこからじわじわと抜け出し4コーナー手前で先頭へ。ビービーバーレルも上がっていくが、ジュエルクイーンがぐんぐん引き離しにかかった。逃げていたバラブシュカもぴったりついて粘りを見せたが、ゴールまでそのまま押し切ってジュエルクイーンが優勝。2着には7番人気のバラブシュカ、3着にはビービーバーレルが入り、3番人気のユッコは5着だった。
 積極的な逃げでレースを盛り上げたバラブシュカの馬主、オリオンファームの三浦啓一場長は「砂をかぶらなければ力を出せる」と話しながらも悔しそうな表情を見せていた。そして上位3頭がブリーダーズゴールドカップJpnⅢへの優先出走権を手にした。
 「ヒヤヒヤした」とジュエルクイーンの田中正二調教師。スローで内に包まれ、周りのホッカイドウ競馬の名手らは簡単に人気馬を外に出させない。わずかなスキを見て、スッと内側に進路を取った五十嵐騎手の判断が光った。一昨年から3着、2着ときて今年、ついにクイーンの座に輝いた。
 生産した新ひだか町・明治牧場の柳沢末治場長は、幼少時のジュエルクイーンについて「馬格があった。やんちゃでした」と笑顔を見せる。1歳時はトモに甘いところがあったが、鍼治療で良くなったという。福島2歳ステークスを制した母プラチナローズ、フラワーカップGⅢを勝った祖母スギノキューティーから代々スピードが受け継がれ、全妹のシャインプラチナムも4着に入った。
 ジュエルクイーンの次走はGDJ古馬シーズン5戦目のブリーダーズゴールドカップJpnⅢ。2000メートルについて「切れる脚がないから」と田中調教師は謙遜するが、距離延長も問題なくいいレースを見せてくれそうな強さ。相手は強くなるが、またグランシャリオナイターに宝石(ジュエル)の輝きを与えてくれることを期待したい。
五十嵐冬樹騎手
レースではハナに立たず、折り合いに専念しました。ハナに行く馬がいないので、囲まれる競馬になると考えていました。超スローになって(包まれたが)、内ラチ沿いが開いてくれたのが救いでした。ジュエルクイーンはその道を通っていい競馬をしてくれました。
田中正二調教師
強い馬だけど、レースは何があるかわからない。結局包まれてしまった。(相手は)ベテランの乗り役ばかりで外に出させてくれないし……、ヒヤヒヤしました。切れる脚というよりはジリジリ行くタイプ。1800、2000メートルでも対応できるよう経験を積んで良くなってほしい。


取材・文:小久保友香
写真:中地広大(いちかんぽ)