各地で行われる2歳馬による重賞競走のレースハイライトをピックアップしてお届け。

第15回 サンライズカップ

10/13(火) 門別 1700m  タービランス Movie競走成績

パイロ産駒のタービランスが「サンライズカップ」を快勝し、
11月5日の「北海道2歳優駿(JpnⅢ)」へ地元代表として挑む!

 門別競馬場1700mが舞台となる2歳重賞「サンライズカップ」。約3週間後に迫った2歳ダートグレード「北海道2歳優駿(JpnⅢ)」へ向けて、地元有力馬が一堂に会す前哨戦である。

 「サンライズカップ」に優勝して「北海道2歳優駿」へ駒を進めた馬たちの戦績を振り返ると、第1回ウィンメッセージ=3着、第2回オーゴンプリンス=2着、第3回フジエスミリオーネ=5着、第4回モエレアドミラル=1着、第5回カネマサドゥイット=13着、第6回ヒデサンジュニア=6着(サンライズカップ2着のトップサバトンが優勝)、第7回バイタリティー=4着、第8回チョットゴメンナ=未出走、第9回ビッグバン=1着、第10回エルヘイロー=6着、第11回イッシンドウタイ=5着、第12回ジェネラルグラント=5着、第13回ハッピースプリント=1着、第14回タケルオウジ=13着という結果。過去14回で3勝、2着1回、3着1回と、まさに本番へ直結する最重要レースといえるだろう。

 今年の「サンライズカップ」は10月8日(木)に行われる予定だったが、当日は台風が北海道地方を直撃し、強風のため門別競馬3レース以降は競走取り止め。「サンライズカップ」は翌週13日(火)、出走予定馬9頭による再投票により実施されることになった。

 競走日が変更になるアクシデントがあったものの、ラプレシオーサを除く8頭が再エントリーで出走。その中で単勝1.4倍の支持を受けたのが、デビューから4戦3勝のタービランス(牡、北海道・若松平厩舎、父パイロ)だった。ここまで地元ダート戦では1度も負けておらず、唯一敗れたのはJRA札幌に遠征した芝レース「コスモス賞」。前走の「ウィナーズチャレンジ7(1700m)」では、「ブリーダーズゴールドジュニアカップ」の1、2着馬ストレートアップとスティールキングを完封しており、重賞初挑戦とはいえここはあっさりとクリアしたいところ。馬体重がプラス18kgと発表されて不安視する声もあったが、ぜひとも大一番で中央馬を迎え撃つ代表格になってほしいとの期待が上回り、圧倒的な人気へとつながった。

 2番人気は、ここまで4戦2勝のジャーニーマン(牡、北海道・齊藤正弘厩舎、父サウスヴィグラス)で単勝4.1倍。遠征したJRA札幌の芝レース「すずらん賞」でも勝ち馬からコンマ3秒の5着に健闘。約2ヶ月ぶりのダート戦、初距離、マイナス10kgの馬体重と不安要素も多々あるが、2走前の「メイショウボーラー賞(1200m)」で見せた末脚は驚異的で、展開次第では直線一気の再現もあり得なくはない。

 3番人気は、デビューから2戦2勝の良血馬ヴェルミオン(牡、北海道・廣森久雄厩舎、父ヴァーミリアン)で単勝5.2倍。ノーザンファーム生産の外厩馬で、経験は浅いものの底を見せていない魅力に溢れる一頭だ。

 4番人気は、「ブリーダーズゴールドジュニアカップ」の2着馬スティールキング(牡、北海道・角川秀樹厩舎、父シルバーチャーム)で単勝9.2倍。6月の「栄冠賞」でも4着するなど早い時期から素質を開花させ、1勝馬ながら大崩れしない堅実さを買われていた。

 以上の4頭が単勝10倍を切るオッズで、モリデンルンバ(牡、北海道・柳澤好美厩舎、父マーベラスサンデー)以下4頭は単勝30倍を超すオッズ。雨こそ降っていないものの、前週からの不安定な天気の影響もあって稍重馬場発表の中でゲートイン。発走時刻の20時40分には、冬の足音がすぐそこまで来ているように感じるほど凛とした空気が競馬場を包み込んでいる。

 スタンド前に組まれたスタートゲートから好ダッシュをみせたのは、3枠スタートのスティールキングと4枠スタートのタービランス。すぐに1コーナーへ差しかかり、コーナーワークでスティールキングがハナを切る形となった。それをピッタリとマークしてタービランスが2番手、シニスターブレイク(牡、北海道・原孝明厩舎、父シニスターミニスター)、モリデンルンバ、ジャーニーマンらも差がなくつづき、前は固まった状態のまま向う正面へ。ミスターダヴィンチ(牡、北海道・角川秀樹厩舎、父スターリングローズ)1頭だけがポツンと離された最後方という隊列のまま3~4コーナーをまわり、持ったままでタービランスが先頭に並びかける。最後の直線に入ってもスティールキングとタービランスが並んで他馬を突き離しにかかったが、タービランスに騎乗している佐々木国明騎手の手綱は一切動かない。残り200mのハロン棒で万を持して追い始めると、タービランスが一気に弾けて突き抜けた。スティールキングも必死に食い下がり、後方からジャーニーマンも脚を伸ばしてきたが、タービランスが余裕の手応えのまま先頭でゴール板を駆け抜けた。

 優勝したタービランスは、ホワイトストーンなどが生まれ育った日高町・大川牧場の生産馬。父のパイロはダートの2歳リーディングサイアーで堂々のトップ、芝を含めた2歳総合リーディングでも5位につけており(2015年10月14日現在)、2013年生まれ産駒の好調さが目立つ。タービランスはダート不敗の4戦4勝で2歳ダートグレード「北海道2歳優駿」へ臨むことになり、一昨年のハッピースプリント同様に、年末の「全日本2歳優駿(JpnⅠ)」まで視野に入れたくなるほどの逸材。今年の道営2歳馬たちが、例年以上に輝いて見えるのは気のせいではないだろう。
佐々木国明騎手
レース取り止めとなった先週、勝てるつもりでいたので、順延の期間が長く感じました。勝ててホッとしています。2~3番手につけるレースをイメージしていたので、理想通りの乗り方ができました。道中は手応え抜群で、「勝てる、勝てる」と心の中で思いながら乗っていました。次は「北海道2歳優駿」になると思いますが、私自身もぜひもう一度勝ちたいレースですね。
若松平調教師
馬体重が大きく増えていましたが、太め感はなく、良い状態でした。日延べの影響も特に問題なかったですね。レース運びは理想的な展開でしたし、4コーナーで他の馬が追い出したときにも余裕があったので、安心して見ていられました。次は大一番へ臨むことになりますが、距離が100m伸びるだけなので、頑張ってくれると思います。出世街道を突き進んでいきたいです。

 
文:浜近英史(うまレター)
写真:中地広大