各地で行われる2歳馬による重賞競走のレースハイライトをピックアップしてお届け。

第16回 若鮎賞

8/15(土) 盛岡 芝1600m  メジャーリーガー Movie競走成績

地方競馬で今季初の2歳芝重賞・若鮎賞(盛岡)は、
ブラックタイド産駒のメジャーリーガーが優勝!

 地方競馬場で唯一、芝コースを持つ盛岡競馬場。岩手競馬の2歳重賞戦線は、その盛岡芝1600mコースが舞台となる「若鮎賞」からスタートする。2000年に創設され、今年で第16回を迎える2歳重賞だが、その第1回優勝馬にはのちにJRAの重賞(2006年オーシャンステークス)を制することになるネイティヴハートが名を刻み、岩手三冠馬ロックハンドスターが初重賞タイトルを手にしたのもこの舞台だった。

 未来のスターホースを夢見て10頭の若駒がエントリーしてきた「若鮎賞」だが、今年はスタート直前にアクシデントが発生。1番人気の支持を受けていたメーター(牡、岩手・千葉幸喜厩舎、父プリサイスエンド)がゲート内で暴れて転倒し、馬体に故障を発症して競走除外となったのだ。

 これにより、各馬の単勝オッズは変動。押し出されて1番人気になったのは、デビューから不敗の2連勝で臨んできたメジャーリーガー(牡、岩手・小林義明厩舎、父ブラックタイド)。芝コースの経験はないが、JRAで芝の重賞馬を数多く送り出しているブラックタイドの産駒ということもあり、期待値も含めて2.2倍の支持を集めた。

 2番人気と3番人気は、デビュー戦で同じ芝レースに出走し、優勝したサプライズハッピー(牝、岩手・櫻田浩三厩舎、父ゴールドアリュール)と、3着だったサンエイゴールド(牡、岩手・瀬戸幸一厩舎、父ステイゴールド)。芝の経験を買われ、それぞれ3.3倍、5.2倍と差がなくつづく。4番人気のロチュス(牝、岩手・城地俊光厩舎、父カンパニー)も、芝1000mのデビュー戦を快勝した実績を見込まれて5.8倍。この4頭が10倍を切るオッズで、グレーストスカーナ(牝、岩手・伊藤和厩舎、父マツリダゴッホ)以下は、離れた20倍以上のオッズを示していた。

 過去に4戦しているシグラップジュリア(牝、岩手・板垣吉則厩舎、父カジノドライヴ)以外の8頭は2戦または1戦しか実戦経験がなく、ここが初芝という馬が3頭、全馬ともマイルは初距離という、どの馬が勝っても不思議ではないメンバー構成。朝方に降った雨はすっかりあがったものの、芝コースは重馬場でのゲートインとなった。

 仕切り直しのゲートが開いて、勢いよく飛び出したのはグレーストスカーナ。最初のスタンド前直線でダッシュをつけ、1コーナーをまわって単騎の逃げに出た。メジャーリーガーが外から押さえられない手応えで2番手につけ、前を追走していく。中団位置に4~5頭が固まる淡々とした流れの中、レースが動いたのは3コーナー過ぎ。メジャーリーガーがペースをあげて早くも先頭を捕え、ポエムトウショウ(牡、岩手・佐藤祐司厩舎、父サムライハート)、サンエイゴールドらも追走を開始する。直線に入ると、メジャーリーガーが抜け出して後続を突き離しにかかった。そのまま独走になるかと思いきや、中団の後方につけていたサプライズハッピーが外から勢いよく伸びてきて、メジャーリーガーを追いつめる。一旦置かれかけたポエムトウショウも二の脚を使って迫ってきたが、ゴール直前はメジャーリーガーとサプライズハッピーの一騎打ちに。結果、メジャーリーガーがアタマ差だけしのぎ切り、岩手所属2歳馬最初の重賞タイトルを手中にした。

 優勝したメジャーリーガーは、JRAで大注目を集めているエイシンヒカリと同じ新ひだか町三石の木田牧場生産馬。半姉に盛岡芝重賞のオパールカップで2着したこともあるレディージャスミンがいて、血統的にも芝適性は高そうだ。9月20日(日)に盛岡競馬場で行われる地方交流の2歳芝重賞「ジュニアグランプリ」で、地元代表としてさらに成長した姿を披露してほしい。

 
文:浜近英史(うまレター)