各地で行われる2歳馬による重賞競走のレースハイライトをピックアップしてお届け。

第33回 ビギナーズカップ

9/6(日) 水沢 1400m  サプライズハッピー Movie競走成績

今季の岩手競馬2歳最初のダート重賞「ビギナーズカップ」は、
ゴールドアリュール産駒のサプライズハッピーが5馬身差快勝!

 今年で第33回を迎えた歴史ある「ビギナーズカップ(水沢・ダ1400m)」だが、重賞に格上げされてからは4回目。岩手競馬では、8月の「若鮎賞(盛岡・芝1600m)」につづく今季2つ目の2歳重賞となり、ダート競馬では最初の2歳馬タイトルとなる。優勝馬には岩手2歳三冠の一冠目、また未来優駿シリーズの初戦でもある「若駒賞(10月19日、盛岡・ダ1600m)」への優先出走権が与えられる大切な一戦。近年の優勝馬には、ダートグレード競走で活躍中のラブバレットらが名を刻んでいる。

 今年は6頭立てと少頭数でその盃を競うことになったが、若鮎賞の上位入線馬もエントリーし、高レベルでの熱戦が期待された。その中で1番人気に支持されたのは、デビューから4戦2勝、2着2回と連対を一度も外していないチャイヨー(牝、父アグネスデジタル、岩手・菅原勲厩舎)。水沢コースに限れば2戦2勝で、前走のフューチャーステップも2馬身半差をつける鮮やかな差し切り勝ち。右回りでの安定したレースぶりを買われ、単勝1.8倍の人気を集めた。

 2番人気は、若鮎賞でアタマ差の惜しい2着だったサプライズハッピー(牝、父ゴールドアリュール、岩手・櫻田浩三厩舎)。こちらも3戦1勝、2着2回と連対を外しておらず、1番人気のチャイヨーとは1勝1敗。重賞で僅差の2着した実績馬だが、ダート経験は1戦のみで、そこでチャイヨーに先着を許していることから単勝3.3倍と少し評価に差をつけられた。

 3番人気は、前走のフューチャーステップでチャイヨーの2着したボーンインタイム(牡、父サウスヴィグラス、岩手・櫻田康二厩舎)。この馬も3戦2勝、2着1回で、チャイヨーとは1勝1敗。前走も敗れたとはいえ、直線半ばまではチャイヨーと一騎打ちを演じており、現時点で岩手2歳トップレベルの実力があるのは折り紙つき。単勝3.7倍と差がなくつづいた。

 以下、ホッカイドウ競馬から移籍して3戦目となるコパノミラーレ(牡、父アッミラーレ、岩手・板垣吉則厩舎)が12.0倍、若鮎賞の3着馬ポエムトウショウ(牡、父サムライハート、岩手・佐藤祐司厩舎)が34.6倍、2戦目に7馬身差の圧勝を収めているスクリーンハッピー(牝、父スマートボーイ、岩手・櫻田康二厩舎)が37.8倍という人気順。日々成長を重ねている2歳馬だけに、いつ逆転や大駆けが起きても不思議ではなく、少頭数とはいえ未来のスター候補誕生を期待したくなる。

 小雨降る水沢競馬場のダートコースは重馬場発表。ゲートが開いて、ハナを奪いに行ったのは大外スタートのボーンインタイム。内からチャイヨーが2番手につけ、ポエムトウショウ、サプライズハッピーも差がなくつづく。向う正面ではスクリーンハッピーとコパノミラーレが早くも離され始め、前4頭と後2頭が離れた縦長の隊列。3~4コーナーではポエムトウショウも脱落し、4コーナーをまわったところではボーンインタイム、チャイヨー、サプライズハッピーの3頭が横一戦に並んだ。しかしそれも一瞬で、サプライズハッピーが一気に突き抜けて後続との差を見る見る間に広げていく。直線は、まさにサプライズハッピーの独壇場。2着馬に5馬身の差をつける快勝で、初の重賞タイトルを手にした。2着には逃げたボーンインタイムが粘り、山本聡哉騎手(弟)-山本政聡騎手(兄)の兄弟ワンツー決着。1番人気のチャイヨーは直線で失速し、先頭からは8馬身離された3着に敗れた。

 優勝したサプライズハッピーは、ダート競馬のスターホースを次々と送り出しているゴールドアリュールの産駒。芝のレースでも高い能力を示していたが、今回の完勝で未来の選択肢が大きく広がったといえるだろう。順調に階段を上り、2013年生まれ世代を代表する存在へと成長していってほしい。

 
文:浜近英史(うまレター)