各地で行われる2歳馬による重賞競走のレースハイライトをピックアップしてお届け。
第2回 フルールカップ
電撃の牝馬重賞フルールカップの優勝は、
サウスヴィグラス産駒のモダンウーマン!
昨年、2歳牝馬重賞の更なる充実をめざして新設された「フルールカップ」。門別1000mコースが舞台となる、ワンターンの電撃戦だ。同日に牝馬ダートグレードの「ブリーダーズゴールドカップ(JpnⅢ)」が組まれていることもあり、この日の門別競馬場は『シュエット・ジュマン・フェスティバル(素敵な牝馬の祭り)』と題して華やかな雰囲気に包まれる。「栄冠賞」「ブリーダーズゴールドジュニアカップ」につづく、今年3つ目の2歳重賞タイトルを狙って出走してきた牝馬は6頭。1.6倍の1番人気に支持されたのは、栄冠賞(1200m)の2着馬モダンウーマン(牝、北海道・角川秀樹厩舎、父サウスヴィグラス)。デビュー戦のフレッシュチャレンジ(1000m)で8馬身差の圧勝を収め、前走のウィナーズチャレンジ4(1200m)も僅差の2着。いずれもスピードの違いでハナを奪い、そのままゴールまで一気に駆け抜けるスタイルの快速牝馬だ。距離短縮でさらにスピードが活かされそうで、牝馬同士なら負けられない一戦という見方をされていた。
差がなく2.3倍の2番人気に推されたのは、このレースが2戦目となるシーズアウーマン(牝、北海道・角川秀樹厩舎、父ネオユニヴァース)。こちらもデビュー戦のフレッシュチャレンジ(1000m)で6馬身差の逃げ切り勝ちを収めた期待馬で、同厩舎2頭による一騎打ちムードが漂う。
7.1倍の3番人気は、ここが6戦目とキャリア豊富なミスミランダー(牝、北海道・松本隆宏厩舎、父アッミラーレ)。以下、29.6倍でツリーナッツヒメ(牝、北海道・田中正二厩舎、父ブラックタイド)、47.5倍でリードクィーン(牝、北海道・若松平厩舎、父メイショウボーラー)、53.4倍でエムティーシャトル(牝、北海道・角川秀樹厩舎、父ノボジャック)がつづいた。
少頭数ながら、将来有望な韋駄天娘が顔を揃えて興味深い一戦となった「第2回フルールカップ」。全馬一斉のきれいなスタートから、ハナを奪いに行ったのは2番枠から出たシーズアウーマン。1番枠のリードクィーン、4番枠のミスミランダーがこれを追いかけ、5番枠スタートのモダンウーマンは無理をせず外から4番手につけた。レースはあっという間に4コーナーへ差し掛かり、直線を向いたところで逃げていたシーズアウーマンに、ミスミランダーとモダンウーマンが並びかける。激しい追い比べとなったが、直線半ばでモダンウーマンが力強く抜け出し、一目散にゴールを目指して突き抜けた。逆にシーズアウーマンは脚があがってずるずると下がりはじめ、2番手争いは粘るミスミランダーと内から脚を伸ばしてきたエムティーシャトルの勝負に。最後はミスミランダーがハナ差だけしのぎ切り、なんとか2着を確保したものの、4馬身先にゴール板を駆け抜けたモダンウーマンの強さが際立つ一戦となった。
優勝したモダンウーマンは、栄冠賞の優勝馬タイニーダンサーと同じくグランド牧場生産・所有のサウスヴィグラス産駒。これでデビューからの戦績を4戦2勝、2着2回とし、これから行われる2歳牝馬の短距離重賞「リリーカップ(1200m)」、そして大目標となるであろう2歳牝馬ダートグレードの「エーデルワイス賞(JpnⅢ、1200m)」への視界も大きく開けたと言えるだろう。また楽しみな牝馬が1頭、ヒロイン候補に名乗りをあげてきた。
阿部龍騎手
内に速い馬がいたので、道中は無理をせず、馬のペースに任せようと思っていました。ゲートも落ち着いていて、自分のペースで走って強い勝ち方をしてくれました。前走の重賞(栄冠賞)で2着に負けてしまっていたので、今日は勝ててよかったです。これからまだ成長して強くなる馬だと思いますので、応援してください。
角川秀樹調教師
3頭出しだったので、乗り方は各ジョッキーに任せていました。状態も問題なく良かったのですが、それにしても強い勝ち方をしてくれましたね。逃げずに勝てたことで、結果的に走りの幅が出たのではないでしょうか。今後は地元に専念し、リリーカップ、そしてエーデルワイス賞を大目標にしていきたいと思います。
文:浜近英史(うまレター)
写真:小久保巌義
写真:小久保巌義