理想どおりのレース運びで完勝
素質開花の予想はまだ先に

　グランダム・ジャパン3歳シーズンの第4戦は、南関東限定の東京プリンセス賞。南関東牝馬二冠目にもあたるこのレースは、前日に行われた羽田盃とともに、過去2年より2週ほど繰り上げての実施となった。
　注目は、一冠目の浦和・桜花賞で断然人気に支持されながら3着に敗れたカイカヨソウの巻き返しがあるのかどうか。ファンは、その桜花賞の結果は本来の力ではないと見てか、ここでも単勝1.8倍の人気に支持。果たしてカイカヨソウは、その期待にこたえて見せた。
　最内枠からデイジーギャルが気合を入れてハナを奪い、ベルフェスタ、サブノハゴロモと続き、カイカヨソウは内の4番手を追走。桜花賞を逃げ切ったイチリュウは、半馬身ほどの差でカイカヨソウの外にぴたりとつけた。
　桜花賞でのカイカヨソウは、向正面から追いどおしでなんとか3着を確保という内容だったが、今回は手ごたえがまるで違った。4コーナー手前でもほとんど持ったまま。対してイチリュウは、カイカヨソウに離されまいと、鞍上の的場文男騎手は3コーナーあたりから、わずかではあるが手綱をしごきながらの追走となった。
　直線を向いてデイジーギャルが後退。カイカヨソウの今野忠成騎手は、前にいるベルフェスタとサブノハゴロモの間を突こうとしたが、その隙間は1頭分あるかないか。進路を内に切り替え、やはりわずか1頭分ほどのラチとの間から抜け出してきた。一方のイチリュウは外から伸び、残り200メートルから人気2頭の一騎打ち。しかし並んでいたのは数十メートルほどで、カイカヨソウがじわじわと差を広げると、最後は手綱を抑える余裕を見せ、イチリュウに2馬身差をつけて完勝。ベルフェスタが3馬身半離されて3着に粘った。
　カイカヨソウが進路を切り替えた場面だが、今野騎手によると、余裕を持っての判断だったらしい。「的場さん（イチリュウ）が行ってから、外に持ち出しても勝てる自信はありました。無理して内を突かなくてもよかったんですが、しっかり反応してくれて、怯むこともなかたです」。今後さらに強いメンバーと対戦することを考えて、あえて厳しいレースを経験させたかったとのこと。
　カイカヨソウは、もともと桜花賞のあとは羽田盃を狙うプランもあった。しかし牝馬同士のここを選択したことで、結果的に川島正行厩舎としては、前日の羽田盃（アウトジェネラル）と2日連続でのタイトル獲得となった。気になる次走について川島調教師は、「（東京）ダービーという声もあるけど、どうかなあ」と渋い表情。要因のひとつとして、勝ちタイムが羽田盃より3秒以上も遅いことを挙げた。とはいえ、これが本来の力ではなく、まだまだ成長の余地を残しているというのは、今野騎手にも川島調教師にも共通した見解。次が牡馬相手の東京ダービーになるのか、中央馬相手の関東オークスJpnIIになるのか、いずれにしても、より強い相手との対戦になることは間違いない。どちらを選ぶにしても、カイカヨソウにとっては1カ月以上の時間があり、レベルアップを図っての参戦を期待したい。
　さて、グランダム・ジャパン3歳シーズンでは、これでイチリュウが3位、カイカヨソウが4位につけた。上位とのポイント差はわずか。目下1位のエイシンルンディー、2位のホクザンルージュにとっては、最終戦の関東オークスまでに、さらにポイントを加算しておきたいところだろう。