グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
若草賞 3/18(月) 福山 1,800m 北陸・東海・
近畿・中四国
桜花賞 3/21(木) 浦和 1,600m 南関東
ル・プランタン賞 4/19(金) 佐賀 1,800m 九州
東京プリンセス賞 4/25(木) 大井 1,800m 南関東
留守杯日高賞 4/29(祝・月) 水沢 1,600m 東北
東海クイーンカップ 5/3(祝・金) 名古屋 1,600m 北陸・東海・
近畿・中四国
のじぎく賞 5/16(木) 園田 1,700m 北陸・東海・
近畿・中四国
関東オークス JpnⅡ 6/12(水) 川崎 2,100m 南関東
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、昨年に引き続き、世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME-JAPAN(グランダム・ジャパン)」を実施します(創設2010年)。

全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

最内枠から逃げ直線突き放す
ベテラン名手のワンツー決着

 世代別牝馬重賞シリーズ『グランダム・ジャパン』。現在は3歳シーズンが行われていて、南関東牝馬クラシック第一弾・桜花賞はその第2戦になる。
 今年は何と言っても、56歳の的場文男騎手と57歳の石崎隆之騎手の重賞ワンツーフィニッシュという結果に酔いしれた人も多かっただろう。当の本人たちはまったく意識をしていないだろうが、以前は当たり前のように見ていた光景を久しぶりに目の当たりにすると、ファンとしてはワクワクする。『いいものを見せてもらった』というのが率直な感想だった。
 絶好の最内枠に入った的場騎手のイチリュウが最初のコーナーで先頭へ。「3、4番手とも考えていましたが、スタートして外からくる馬たちが見えなかったので、包まれるよりも行ったほうがいいと思いました」
 2番手には中央の芝のレースで好走してきた石崎騎手のアステールネオが続いた。
 3コーナー手前からさらに快調にレースを進めていくこの2頭に後続勢はついていくことができない。突き放しにかかる的場騎手のイチリュウに、石崎騎手のアステールネオが離されずについていく。
 「石崎さんが来ていたのはわかっていましたが、自分のペースは守りながら乗っていました。直線なかほどでは勝てると思いましたね」という的場騎手のイチリュウが、2着のアステールネオに2馬身半差をつける完勝となった。
 今回はカイカヨソウがどんな勝ち方をするかとも言われていたように、断然の1番人気に支持された。しかし、道中は中団付近から進めていき、最後は3着まで追い上げるのに精一杯。「今日はまったく反応してくれませんでした」とコンビを組んだ今野忠成騎手も首をかしげていた。改めて競馬の難しさを知らされる一戦となったが、これで終わる馬ではないだけに巻き返しを期待したい。
 勝ったイチリュウは追い出してからフワフワするという課題があったが、前走のユングフラウ賞からチークピーシーズを着けたことで集中力が高まり、さらには的場騎手の気の抜かせない技で最後まで一生懸命走れるようになった。まだ成長途上でこれからの馬であることは関係者すべてが口にする。
 的場騎手はゴール直後にガッツポーズで喜びを露わにし、検量室前に戻ってくると新町充寿マネージャー(荒尾の元騎手)にステッキをポーンと投げ渡した。こうしたシーンはあまり見たことがない。「めったにないですから相当うれしかったんでしょうね。ボンネビルレコードの帝王賞優勝以来かもしれません。レース前も130円(カイカヨソウの単勝、最終的には1.1倍)をやっつけてくるぞ!って張り切っていましたから(笑)」と新町マネージャーは言っていたが、どんなに強い相手にも果敢に立ち向かっていく56歳・的場騎手のガッツあふれるこのエピソードに熱くなった。
 地方競馬の至宝・的場騎手と石崎騎手の手綱さばきを見続けることができる喜びを、改めて感じた今年の桜花賞だった。
的場文男騎手
ユングフラウ賞はカイカヨソウが56キロでこの馬は54キロ。今回は同斤(54キロ)だったからどうだろうと思っていたんですが、頑張ってくれましたね。カイカヨソウが横に来たら交わされると覚悟はしていましたが、最後まで見えませんでした。力はある馬だし、これからもっと良くなっていきそうです。
内田勝義調教師
まさか逃げると思いませんでしたが、的場騎手の判断ですね。レースが上手でどんな競馬でもできるのは強みです。成長がゆっくりでやっと固まって良くなってきた段階だったので、そもそもは次の東京プリンセス賞向きだと思っていました。去年のコテキタイに続いて連覇ができてうれしいです。


取材・文:高橋華代子
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)