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第54回 2013年1月18日 オリオンザサンクス

 ホッカイドウ競馬から鳴り物入りで移籍したオリオンザサンクスが、疾風のごとく駆け抜けた99南関東クラシック。当時は羽田盃、東京王冠賞(01年に廃止)、東京ダービー、そしてジャパンダートダービーが新設されて、春のうちに4冠を走り抜くサバイバルな戦いでした。オリオンザサンクスは東京王冠賞を惜しくも3着に敗れましたが、それ以外はすべて逃げ切り勝ちを収め、変則3冠馬と言っても過言ではないかもしれません。

 そんなオリオンザサンクスが現役を引退して種牡馬入りをしてからかなりの月日が過ぎました。第二の故郷となった荒木克己育成牧場(新ひだか町)で引き続き種牡馬生活を送っています。「もう10年以上も一緒にいるので家族の一員みたいな感じですね」と荒木貴宏さん。

 オリオンザサンクスの種牡馬としての特徴は、仔出しが良く、産駒は父譲りで平均的に大きいそうです。08九州ダービー栄城賞を優勝したオリオンザナイトや南関東のA級までいったビッグマグナムなど活躍馬を送り出しています。今後も引き続き産駒が誕生予定なので、父に継ぐような馬が登場して欲しいですね。

 現在は17歳になりましたが、いつおじゃましても現役時代を彷彿とさせるような雄大な馬体は健在で、プリップリした肌ツヤも健康体を物語っているかのようです。「食欲も旺盛だし健康状態は何も問題はありません。放牧地の出し入れのときに今でも僕が引っ張られるくらい元気ですよ(笑)」(貴宏さん)。180センチもある貴宏さんにそう言わせるオリオンザサンクス、サスガです!

 荒木さんの牧場と言えば、オリオンザサンクスを皮切りにトーシンブリザードやブライアンズロマンなど名馬が余生を過ごしていることはあまりにも有名です。オリオンザサンクスとブライアンズロマンが隣同士にいると威嚇し合っている姿を見かけるんですが、「2頭ともプライドがありますからね」と貴宏さんは言います。現役を退いてかなり経った今も王者としての気持ちを持ち続けているんですねぇ……感慨深いです。

 なお、『荒木牧場功労馬サポーターズ』という会が結成されたことはご存知でしょうか?BTC(軽種馬育成調教センター)の助成金削減により行き場を失ってしまった94天皇賞(秋)馬ネーハイシーザーを今現在はサポートしていて、いずれオリオンザサンクスが種牡馬を引退した際にはこの会で養っていくことも視野に入れているそうです。

 また行き場がなくなってしまった馬たちのかけこみ寺のような存在として、一時的な緊急避難のための中間支援なども目的にしていきたいそうです。たしかに、競馬ファンの方が大好きだった馬を助けたいと思ってもノウハウがなければどうしていいのかわかりません。そんなときにこういう場があるのは心強いです。

 詳しいことは『荒木牧場功労馬サポーターズ』http://akbks.web.fc2.com/index.htmlのホームページをご覧くださいね。

高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
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・船橋競馬を愛する100人の会