浅野靖典の全国馬美味(ウマウマ)行脚」地方競馬にまつわる「ウマいもの」を毎月ご紹介!
“鉄人”佐々木竹見の見解」佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!
高橋華代子の(続)気になるあの馬は…」引退後や転厩した名馬の近況を愛あふれる文章でご紹介!
REWIND 90's」当時の写真や映像を交えて90年代の名勝負を振り返ります!

第53回 2012年12月20日 サプライズパワー

 「一生懸命過ぎるくらいに一生懸命走る馬だった。馬も頑張るから、先生も石崎さんもみんなで頑張ったなぁって思い出すね。サプにはいろいろ楽しませてもらった」と、サプライズパワーを担当していた川島正行厩舎の重鎮・多田圭治厩務員は当時を振り返ります。

 サプライズパワーは北海道競馬出身。南関東に転厩後は97東京ダービーと東京王冠賞をはじめ重賞11勝を挙げ、5年連続重賞制覇という息の長い活躍を見せました。抜群の馬っぷりと威風堂々とした姿は、今でも多くの人たちの記憶にも焼きついているでしょう。当時の川島厩舎を代表する1頭でした。

 引退後は種牡馬として、競走馬登録をした産駒は2頭。ジョウショーエビスという牡馬は中央からデビューし佐賀と水沢で走り、ベビードールという牝馬が兵庫の高馬元紘厩舎からのデビューを予定しているそうです。

 現在のサプライズパワーは村上欣哉さんの牧場(新冠)で功労馬として余生を送っています。早いもので18歳になりましたが、引き続き健康状態も良好で年齢を感じさせずに元気いっぱいだそうです。「放牧地ではおとなしいんですが、馬を出し入れするときは群れのボスだと思っているみたいで、『自分がいちばんだ!』って感じでいなないてアピールをしていますよ」と村上さん。現役を退いて時間が経ったとは言え、まだまだパワーがみなぎっているので、決まった人しか馬房からの出し入れはできないんだそうです。

 朝5時から夕方5時まで放牧地でのんびり過ごす日々。馬服を着てもすぐに脱いでしまうので、この寒い時期でも何も着ていないそうです。現役時代はそういう癖はなかったそうなので、年を重ねて暑がりになったんでしょうか(笑)。「カイ食いもいいし、牝馬にも反応をしているし、あと何年大丈夫なんだろうなぁ?って考えたこともないくらいに元気ですよ」(村上さん)。

 そんなお話しを多田厩務員に伝えると、「うれしいよねぇ。村上さんの牧場とうちの実家が近いから一度会わせて頂いたけど、また会いに行きたい。サプにはいつまでも元気でいて欲しいよ」とひじょうにうれしそうでした。長い間苦楽を共にしてきた相棒ですもんねぇ。

 サプライズパワーのおじいちゃんシンザンはサラブレットの日本最長寿記録(35歳)を持っていることでも知られています。「(サプライズパワーは)心臓が抜群に良かった」(多田厩務員)ということで、孫もぜひ続いて欲しいです。『サプ、がんばれ~!』

高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
・TCKホームページ重賞競走
・楽天競馬
・競馬総合チャンネル地方コース
・ウェブハロン
・船橋競馬を愛する100人の会