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第49回 2012年8月20日 ゴールドヘッド

 ゴールドヘッドを覚えているでしょうか?今は亡き蛯名末五郎調教師の最高傑作として、大井でデビューし、大井で走り続け、大井の砂上で輝き続けた馬でした。98羽田盃や99マイルグランプリ、グランドチャンピオン2000など通算重賞タイトルは7勝。気性の激しさは天下一品で、勝負根性をむき出しにして走る姿が忘れられません。『大井の大将』という言葉がぴったりの大井を代表する名馬でした。

 引退後は中田和宏オーナーの牧場(平取)で種牡馬生活を送り4頭の産駒を競馬場に送り出しましたが、今現在は功労馬として余生を過ごしています。

 ゴールドヘッドがいるのは中田オーナーの分場(日高町)。山のほうに向かってズンズン進んでいくと、青々とした緑に囲まれた放牧地が広がっていて、2万平米という広大な場所に放されています。その中には雨宿りをしたり疲れたら休む場所はあるので、自分の意思で行ったり来たりしながら自由気ままな日々。「鹿と遊んでいますよ(笑)。煩わしいこともないしストレスをためることもないですからね。大好きな青草はたくさん生えているし、自然の湧水を飲めるし、木もたくさんある場所だから空気も良いんです。馬にとって最高の環境だと思いますよ」(中田オーナー)

 早いものでゴールドヘッドも今年17歳になりましたが、引き続き元気だそうです。この写真は数年前に撮影したものですが、「その頃と変わらないと思います。ストレスをためないから馬は若いです」と中田オーナー。大自然に囲まれた空間に住み続けて性格は丸くなかったのかなぁと思いきや、「多少はおとなしくなったかもしれませんが、今でも怖いなぁと思うくらいの気性は持っています」(中田オーナー)。武器のひとつだった闘争心は、持ち続けているんですねぇ。

 「この馬には馬主として最高の楽しみを与えてもらいました。一生のんびりと余生を送るようにしてあげたいですね。青草を中心に食べさせて体に余計な脂肪分はつかないので健康的です。一般的に走った馬は心臓が丈夫だし、アクシデントがなければ長生きしてくれるんじゃないかと思います」(中田オーナー)

 ゴールドヘッドという名の由来は、「『金』はどこでも通用する一番のもの、その『頭』を取って欲しい」と蛯名調教師の奥様が名付けました。大井の大将として『金』を取りましたが、今度は長寿で『金』を目指して欲しいと願います。

 『ゴールド、これからもずっと元気で長生きしてね!』

高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
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・船橋競馬を愛する100人の会