浅野靖典の全国馬美味(ウマウマ)行脚」地方競馬にまつわる「ウマいもの」を毎月ご紹介!
“鉄人”佐々木竹見の見解」佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!
高橋華代子の(続)気になるあの馬は…」引退後や転厩した名馬の近況を愛あふれる文章でご紹介!
REWIND 90's」当時の写真や映像を交えて90年代の名勝負を振り返ります!

第46回 2012年5月18日 シルバーアクト

 南関東牝馬クラシック2冠馬シルバーアクトを覚えているでしょうか?石崎隆之騎手を背に、97年桜花賞と関東オークスを制覇。当時は3冠目に東京プリンセス賞が組まれていましたが、ここで惜しくも5着に敗れ、牝馬3冠の夢は断たれました。しかし、南関東牝馬クラシックは3冠レースとも、競馬場も距離もまったく異なる条件で行われるために、うら若き牝馬たちにはひじょうにハードな戦いです。

 さまざまな条件を克服して牝馬2冠に輝いた女傑は、今どうしているんでしょうか?

 98年夏のレースを最後に早々繁殖入り。現在は原口牧場(新ひだか町)で繁殖生活を送っていて、今年18歳になりました。「走った馬は気性がカリカリしている印象があるんですが、この馬は常に雄大で、小さなことにもこだわらないし堂々としています。体は大きいほうですが他の繁殖牝馬とケンカはしないし温厚ですね。素直で扱いやすいです」と代表取締役の原口章さん。

 子育ても上手で優等生とのことですが、仔馬をひじょうにかわいがることから……「若い頃はあまりにもかわいがりすぎるので逆にホルモンのバランスを崩すことがあって、連続して仔を取れないこともありました。それもあって年齢の割には(仔の)数が少ないんです。ここ数年は落ち着いてきたのでコンスタントに産んでくれています」(原口さん)

 産駒の中から6頭の競走馬を送り出していて、まだデビュー前の馬たちもスタンバイ中です。現在はウインベルカント(牡馬、父ネオユニヴァース)が中央2勝を挙げて活躍しています。

 私がおじゃましたとき、若々しい体つきと機敏な行動からベテランお母さんには思えないほどの雰囲気を醸し出していたのには驚きました。ここでは1年に1度は歯のすり合わせをするために、18歳になった今も歯が丈夫でバリバリとカイバを食べるそうです。特に好きなのはニンジンやりんごなど。人間も一緒ですが、食べられるのは健康の証でしょう。体調も特に問題はなく、毎日元気いっぱいに過ごしているそうです。

 「一年でも長く繁殖生活を続けて、できる限り面倒を見てあげたいと思っています。そのためにも無理はさせないようにして、これからは1年おきに種付けをするつもりです」(原口さん)

 南関東牝馬2冠馬シルバーアクトの名前をとどろかせるような産駒が、もっともっと出てきて欲しいなぁと切に願います。それが南関東だったら……南関東ファンにとってはなおさら感激ですねぇ。

高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
・TCKホームページ重賞競走
・楽天競馬
・競馬総合チャンネル地方コース
・ウェブハロン
・船橋競馬を愛する100人の会