勝ち馬から3頭がグランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズン優勝馬となっている、ビューチフルドリーマーカップ。シーズン終盤へ向けてポイントを加算したい局面であり、当初発表された他地区からのエントリーは補欠馬も含めて25頭。選考順位の決定は相当に難しかったと想像される。また出走馬が確定するまでに、浦和競馬での豪雨による開催取り止めで、登録馬のローテーションが微妙に狂ったり、遠征で騎乗を予定していた騎手が変更になるということもあった。それでも岩手競馬は7月12日の盛岡開催からお客様の入場を再開しており、大歓声の前とはいえないものの、このシリーズとしても久々に1978名の入場者の前でレースを実施することができたのは幸いだった。
遠征馬6頭はすでにGDJ古馬シーズンのポイントを獲得しており、このレースが地方全国交流となった2010年以降でもっとも層が厚いと思えるメンバー構成。昨年このレースを勝って古馬シーズン優勝を果たしたクレイジーアクセルは、前走園田の兵庫サマークイーン賞で5着と敗れていたが、大きな出遅れが最後まで響いたもの。鞍上の吉原寛人騎手が当レースをここ6年で4勝という相性の良さもあり、単勝1.7倍の1番人気に支持された。
クレイジーアクセルが1番枠からスタートを決めて逃げの手に。ヴィクトアリーが素早く2番手につけ、アッキーは少しダッシュがつかなかったものの、すぐに追い上げてその外3番手を確保。昨年クレイジーアクセルをマークしながら突き放されて2着に終わったアッキーの林隆之調教師と高松亮騎手は「前々につけて、自分で早目に動くような競馬を」との作戦通り、ペースの上がる2周目向正面から追い上げを開始、3コーナーでは先頭に並びかけていった。クレイジーアクセルとヴィクトアリーはこれに抵抗することができず、アッキーは4コーナーで完全に先頭。そのまま後続を寄せ付けずに4馬身の差をつけゴール、見事に昨年の雪辱を果たす結果となった。2、3着はクオリティスタート、アンバラージュが中団から押し上げた。
「返し馬でいけるんじゃないかと思いました。自分が勝ったというより、アッキーに助けてもらって勝ったという気持ち」という高松騎手だったが、昨年2着以来の騎乗で、今年こそはの気持ちが強かっただろう。「馬体に幅が出たし、(7歳となる)ここにきて成長しているので凄い」とも馬を讃えた。確かにビューチフルドリーマーカップがGDJ古馬シーズンのローテーションに加わってからは、出走頭数自体が少ないこともあるが、7歳以上の馬が馬券対象になったことも初めて。その価値も評価されるべきだろう。
「そろそろ将来のことを考えないといけない年齢ですし」と、アッキーの次走について林調教師は明言しなかったが、ひとまずGDJ古馬シーズンのポイントは加算。2着以下のクオリティスタート、アンバラージュ、ヴィクトアリーらも長距離遠征を克服してポイントを加算しており、シーズン優勝を狙える位置をキープ。上位は大混戦の様相となっている。
Comment
高松亮 騎手
真っ向勝負でも自分の勝ちパターンを生かすレースを考えていたし、出遅れましたが結果的に3番手から前の有力馬を競り落とす形になりました。装鞍時から状態の良さを感じていたし、あとは馬を信じて乗るだけ。アッキーに勝たせてもらった。ここにきて成長しているので、凄い馬だと改めて思いました。
林隆之 調教師
去年このレースを経験して、切れるタイプではないので自分から動いてほしいと思っていましたが、鞍上が自信を持って乗ってくれました。今年になって馬が充実して、精神的にしっかりしてきましたし、成績も出しています。遠征も克服してくれたし、力を出してくれれば結果が出ると思っていました。