昨年のノースクイーンカップは大井所属のクレイジーアクセルが勝利し、グランダム・ジャパン古馬シーズン優勝への足掛かりにした。それに続こうと、今年は大井から3頭が出走。さらに佐賀からも1頭が遠征してきた。
大井所属の3頭のうち、グランモナハートとナムラメルシーは同じ福田真広厩舎の管理馬。ナンヨーオボロヅキは前走の佐賀ヴィーナスカップで2着に入って、グランダム・ジャパンのポイントを獲得している。
佐賀所属のアンバラージュは佐賀ヴィーナスカップで4着に入ったが、今回は前走から中10日である上に長距離移動。発表された馬体重は前走より15キロ減だった。
一方の地元所属馬には地の利が武器。なかでも前走ヒダカソウカップを制したクオリティスタートが筆頭格だ。昨年のこのレースでは3着、今回は僅差で単勝2番人気に支持され、パドックでは歩様が力強く活気十分。大井の3頭も気合が感じられる歩きを見せていた。
だが、遠征馬には明暗が分かれた。
スタートからしばらくはグランモナハートとナンヨーオボロヅキが並ぶ形で先手を取り、1コーナーでグランモナハートが先頭に。ナムラメルシーとアンバラージュが並んで3番手を進んだ。その後ろは5馬身ほど離れてクオリティスタートが追走。全体の隊列はかなりの縦長になった。
この日の門別競馬場は、ときどき小粒の雨が落ちてくる天候で、馬場状態は稍重。レースが進むにつれて前が残る傾向が出ていた。
それも含めて、初めて門別競馬場を走る遠征馬4頭が先行したのは当然のことだろう。しかし「途中で手ごたえがなくなってしまいました」(小野楓馬騎手)というナンヨーオボロヅキは単勝3番人気で8着。「返し馬で物見してレースでもフワフワ。前に乗ったとき(昨年のクイーン賞JpnⅢ)の雰囲気ではなかったです」(五十嵐冬樹騎手)というナムラメルシーは単勝1番人気で9着。ともに最後の直線で失速してしまった。
一方でグランモナハートは粘りを見せた。しかし手応えよく上昇してきたクオリティスタートが最後の直線に入ったところで先頭に立ち、そのまま押し切りを図った。
そこに加わってきたのがアンバラージュ。3番手から徐々に差を詰め、ゴール地点ではクオリティスタートと馬体が並び、ゴール通過後は完全に突き抜けた。
しかし写真判定の結果は、クオリティスタートが1着。2頭の差は3センチ程度だった。
その結果にアンバラージュを管理する真島元徳調教師は「門別の馬場が合っていたのだと思います。結果は欲しかったですが……」とコメント。金星を逃した松井伸也騎手も「届くと思いました。でも、ここの馬場は合いますね」と話していた。今後は1カ月後のブリーダーズゴールドカップJpnⅢを含めて、予定を考えていくそうだ。
勝ったクオリティスタートを管理する角川秀樹調教師は「金沢(読売レディス杯)と水沢(ビューチフルドリーマーカップ)に申し込みをしてあります」と話していた。また、大井からの遠征馬も引き続きポイント獲得を目指していく様子。レースそのものはもちろんだが、各陣営のレース選択も興味深いシリーズになっている。
Comment
桑村真明 騎手
今年は徐々に調子が上がってきていて、今日の歩様もよかったですね。道中はペースが流れているとは思ったのですが、馬場状態としては前が残る感じでしたから早めに動いていったのですが、最後はインコースの馬の勢いがとてもよくて、ゴールの瞬間は負けたかなと思いました。それだけにホッとしています。
角川秀樹 調教師
前の馬を見ながら行く、いい位置で進められたなと思いながら見ていましたが、ちょっと先頭に立つのが早かった感じはありますね。最後はヒヤヒヤでしたが、そのぶん勝ててうれしく思います。昨年は3着でしたが、今年はここを目標にしてきました。今後の予定は、馬主さんと相談して進めていきます。