グランダム・ジャパン古馬シーズンも後半。過去3年連続でこのレースを制している大井から3頭のほか、北海道、兵庫からも各1頭が遠征してきた。
単勝1.3倍の断然人気に支持されたのは、昨年中央3勝から大井に移籍し、牝馬のダートグレード戦線を戦ってきたサラーブだったが、勝ったのは、一昨年のグランダム・ジャパン2歳シーズンで圧倒的な強さを見せ女王となったアークヴィグラスだった。
ゲートが開いた瞬間、一昨年の覇者エースウィズが立ち上がるような格好になって大きく出遅れた。地元のアンジュリアンが単騎の逃げに持ち込むと、やや離れてアークヴィグラス、前走で日本海スプリントを制したフェリシアルチア、サラーブ、大井のナンヨーオボロヅキ、兵庫のエイシンセラードらがほぼ一団となって追走した。
3コーナー手前でアンジュリアンが後退すると、アークヴィグラスが自然な形で先頭に立ち、これをとらえにかかったのがサラーブ。人気2頭の追い比べになるかに思えたが、徐々に差を広げて振り切ったのがアークヴィグラス。最後は流すような感じでサラーブに3馬身差をつけて完勝。出遅れて4コーナーでもまだ離れた8番手あたりだったエースウィズが、直線内に切り替えて伸び7馬身差で3着に入った。
まずは断然人気で2着に敗れたサラーブの森泰斗騎手。「輸送の影響もあったのか、最後は思ったほど伸びなかった。それよりも今日は勝った馬が強かった。もともとあれくらい走ってもいい馬」と勝者を称えた。
「ゲートの中で馬が力んで出遅れました。最後、よく伸びていただけに、普通に出ていれば……」と、悔しそうだったのはエースウィズの水野翔騎手。
勝ったアークヴィグラスは、東京2歳優駿牝馬以来、じつに1年8カ月ぶりの勝利となった。南関東では浦和・桜花賞3着、東京プリンセス賞2着と好走したものの、その後は5着が最高という成績。デビューした北海道・小野望厩舎に戻って、ヒダカソウカップ2着、グランシャリオ門別スプリント4着から臨んだ一戦だった。
「距離が合うことと、地元(北海道)では賞金で斤量を背負わされるので、いいところを探したらここになりました。また彼女と一緒に肩掛けが欲しいと思っていたので、それができて本当に嬉しいです」と小野調教師。「輸送も克服できたし、ダメージがなければ名古屋(秋桜賞)に行きたいと思います」とのことだが、グランダム・ジャパンのタイトルを狙っているわけでない。「仮に名古屋でポイントを稼いでも、(レディスプレリュードは)1800メートルだと距離が長いし、相手も強いから」。あくまでも小回りの1400メートルという条件が合うと考えてのこと。「(北海道に)戻ってきての使い出しは、内回り1600メートルのヒダカソウカップと決めていました。2着には負けましたが、57キロを背負っていたし、相手も強かった。その走りを見て、まだ本気で走れるのを確認できました。今回の遠征には反対意見もあったんですけど、僕は勝てるならここに来るしかないと話してオーナーに了解してもらいました」。遠征のリスクを負ってまでも、狙って獲った久々のタイトルとなった。
Comment
吉原寛人 騎手
外枠からで、あまり外を回されるときついと思いましたが、2番手で自分のペースで行けて、動きたい時に動ける位置だったので展開もすごく向いてくれました。サラーブが来てから一緒に行く形になりましたが、門別の最近の競馬を見ても並んでからしぶとかったので、並ばれても突き放す自信はありました。
小野望 調教師
もともと2歳時の完成度が高かったから、そのポテンシャルをどこまで維持できるか。輸送もうまく克服してくれたし、揉まれずに自分のペースで前につけられたのもよかった。鞍上も含めてすべてがうまくいきました。距離的には1400から1600メートル、長所が生きるのが小回りだと思います。