グランダム・ジャパン(GDJ)2歳シーズンの最終戦としても注目される東京2歳優駿牝馬だが、前半戦で早くも2勝を挙げてポイントトップに立っている北海道のラジアントエンティは、水沢・プリンセスカップで残念ながら競走中止となって、この最終戦には不在。そのラジアントエンティの30ポイントを超えられるかどうかという争いとなった。
エーデルワイス賞JpnⅢを制した北海道のソロユニットが単勝1.9倍、デビューから3連勝でローレル賞を制した浦和のケラススヴィアが3.2倍で、勝つのはどちらかと人気は集中した。
スタートダッシュが速かったのはケラススヴィア。内からプレストレジーナ、外からはローレル賞で逃げて2着だったセカイノホシも速かったが、競り合うことなくケラススヴィアが先頭で1〜2コーナーを回った。ペースは落ち着いて、後続の有力馬はどこで前をとらえにかかろうかという展開。
内回りの3コーナーを回って、好位につけていたセカイノホシ、さらにレディブラウンが外から並びかけた。しかし、その2頭の鞍上の手が激しく動いているのに対して、ケラススヴィアの森泰斗騎手の手応えは十分。直線を向いて追い出されると、残り200メートルを切って後続を振り切り、勝負を決めた。
4頭ほどが横に広がっての2着争いは、道中5番手あたりにつけていたサブルドールが抜け出した。4コーナーでもまだ中団だったディアリッキーが直線鋭い末脚を発揮して迫ったが、3/4馬身差で3着まで。人気のソロユニットは好位のうしろを追走していたが、見せ場なく8着だった。
勝ったケラススヴィアは、「あまり逃げたい感じではなかったので、いやな感じはしました」(小久保智調教師)と、逃げる想定ではなかったようだ。しかし「3コーナーくらいまでマイペースで運べたので、その時点でやったと思いました」(森騎手)ということだから、ここでは力が抜けていた。
これでデビューから無傷の4連勝。2着馬との着差は、5馬身、3馬身、2馬身、そして今回が3馬身半と、いずれの勝利も圧倒的だ。管理する小久保調教師は、前日の東京シンデレラマイル(ダノンレジーナ)から重賞連勝。鞍上の森騎手と、南関東リーディングのコンビが2020年を締めくくった。
なおGDJ2歳シーズンでは、ケラススヴィアとラジアントエンティが30ポイントで並んだが、“最終戦に出走した馬”が上位というルールで、ケラススヴィアが2歳女王となった。3位は22ポイントでソロユニットだった。
ケラススヴィアの父サウスヴィグラスは、この世代が最後の産駒となるが、このレースはこれで5勝目。GDJ2歳シーズンでも5頭の産駒が女王となった。
Comment
森泰斗 騎手
すばらしいスタートで二の脚もすばらしかったので、ハナという選択をしました。いいリズムで走れて、追ってからちゃんと手応えどおりに脚が使えるので、2歳馬とは思えないほど安心して乗っていました。これからマークされる立場になると思いますが、それを跳ね返せるだけの能力を秘めていると思います。
小久保智 調教師
3コーナーで行きかけたときにちょっと早いんじゃないかと思ったんですが、そこはさすが名手でした。あまり大きくはないので、迫力はなさそうに見えるんですが、身のこなしとか動きとか見てると、どこまで強くなるんだろうという期待感はあります。次はユングフラウ賞、桜花賞と狙っていくつもりです。