ラブミーチャンは2009年に笠松競馬場でデビューして全日本2歳優駿JpnⅠまで5連勝を飾り、2歳馬として史上初のNARグランプリ年度代表馬に選出。年明け初戦は地元笠松のゴールドジュニアで、その日の競馬場内は大変な混雑になった。レース前には馬主の小林祥晃さん(Dr.コパさん)のトークイベントも実施されるというプレッシャーのなか、ラブミーチャンは単勝元返しの支持に応えた。
笠松競馬場の知名度アップに大きく貢献した名馬は引退後にレース名になり、今年はそのオーナーの所有馬であるラジアントエンティが出走。そしてオーナー自身も笠松に来場した。
北海道所属のラジアントエンティは、前走の園田プリンセスカップを5馬身差で逃げ切り勝ち。そのときに手綱を取った吉村智洋騎手が引き続き鞍上を務めた。吉村騎手はこの日に所属競馬場でも開催があるのだが、それでも笠松に来たことがファンにとっての買い材料に映ったのだろう。単勝オッズは1.3倍と、圧倒的な支持を受けた。
2番人気は地元笠松のシャノンアーサー、3番人気は高知のスターフェネックで、この2頭は門別競馬場で対戦したことがある。そのときの結果はスターフェネックが3着、シャノンアーサーが4着で、ここでの人気とは逆。シャノンアーサーは3.1倍。スターフェネックは9.1倍で、連勝式のオッズも同様の分布になっていた。そこから4番人気までは間があいて、22.5倍でマナカフナ。このようなメンバー構成になったのは、翌週に金沢シンデレラカップが組まれていることもあるのだろう。
ゲートが開くと2番ゲートのマナカフナが互角以上のダッシュを見せて先手を取った。ラジアントエンティも好スタートを決めたが2番手につけ、その直後にスターフェネックとシャノンアーサーが並んで追走。そこから5番手の馬までは差がついて、向正面では2つの馬群が別々のレースをしているかのようだった。
それでも4コーナーあたりでは、後方集団からカリーナチャム、サルーなどが差を詰めてきた。しかしそれはマナカフナが失速したことで相対的にそう見えただけ。上位人気の3頭は、そのはるか前を進んでいた。
3コーナーで先頭に立ったラジアントエンティは、そのまま余裕たっぷりに5馬身差で勝利。2着のシャノンアーサーと3着のスターフェネックの間にも3馬身差があり、さらに4着のサルーまでは5馬身差。3連単はファンの見立てどおり1番人気の組み合わせで、4.6倍という数字だった。
その結果には2着馬の鞍上、筒井勇介騎手も「正攻法で挑みましたが負けました」と苦笑い。それでも「地元所属馬同士なら」という手応えはあるそうで、年末のライデンリーダー記念が直近の目標になるようだ。
勝ったラジアントエンティは、レースが終わったその夜に北海道へと帰っていった。次の予定は11月30日に水沢競馬場で行われるプリンセスカップ。そこでグランダム・ジャパン(GDJ)のポイントを積み増して、大晦日の東京2歳優駿牝馬に向かうという青写真が描かれている。
Comment
吉村智洋 騎手
大外枠でしたし、無理して先手を取らなくてもいいかなと考えていましたが、2番手でも落ち着いて流れに乗れました。もう少し距離が長くても大丈夫だと思います。オーナーが勝ちたいであろうレースを獲れて良かったですし、自分自身も入場が再開されてから初めての重賞勝ちなので、とてもうれしいです。
片平陽子 厩務員
普段はとても手がかかる子で、厩舎スタッフも調教で乗ってくれる騎手も苦労が絶えないんですが、今回は前日の昼過ぎに着いて、馬房に1日いさせてもらえたのがよかったのか、とても落ち着いた雰囲気がありました。輸送競馬は何回も経験していますから、その点はもう心配ないと思います。